1月から日曜ドラマ枠でスタートした「ホットスポット」(日本テレビ系)は、同じ枠で好評だった「ブラッシュアップライフ」と同じく、バカリズムが脚本を手掛けている。
番組公式サイトによれば、「ホットスポット」の謳い文句には「SF史上かつてない小スペクタクルで贈る地元系エイリアン・ヒューマン・コメディ」とある。「ブラッシュアップライフ」では主人公の幼少期を演じた子役、永尾柚乃の達者すぎる演技が話題になったが、今回の「ホットスポット」では、物語のキーパーソンである宇宙人の役を、お笑いトリオ・東京03の角田晃広が担当。SFの宇宙人という役どころにしては、あまりに「普通の眼鏡おじさん」な風貌で、狙っている感ありありだ。
ただ、角田は過去にも数々のドラマに出演。「半沢直樹」「大豆田とわ子と三人の元夫」などでは物語の重要な役回りを演じており、演技には十分なほどに定評がある。もはや目新しさは感じないのだ。
演技が達者なお笑い芸人といえば、角田のほかにも塚地武雅(ドランクドラゴン)、原田泰造(ネプチューン)、児嶋一哉(アンジャッシュ)、飯尾和樹(ずん)など、枚挙にいとまがない。中には今野浩喜のように、もはや役者としての仕事がメインになっている者もいる。
しかし、その逆パターン「役者がお笑いをやる」というケースはあまりない。ここで言うお笑いとは喜劇・コメディーではなく、漫才やコントという意味だ。
1月21日の「あさイチ」(NHK)に、川平慈英と伊原剛志が漫才コンビ「なにわシーサー’S」として出演した。「なんのこっちゃ」な感じだが、オープニングでMCの博多大吉(博多華丸・大吉)は困惑気味だ。
「今日は『ジェイさん』と『つよっさん』と呼ぶようにと言われたんですけど」
そこで伊原が解説。
「僕ら、昨年12月半ば頃から漫才コンビを組みまして、もともと40年来の友達なんですけど。話せば長いんですけが『なにか面白いことをやろう』と、お互い60歳を迎えて。お笑いの方が役者をやるパターンは多いじゃないですか。役者がお笑いをやるのってほとんどないよな、これチャレンジしよう」
普段、その川平のモノマネをしている華丸は、オープニング早々の本人による「いいんです!」に対し、「凄いな、持ちネタは。新人とは思えない」と絶賛。それに気をよくしたのか、伊原と川平はノリノリで掛け合い、川平に至っては、華丸の持ちネタである「アタック25」の司会・児玉清のモノマネを披露したのだ。
ところが、だ。「アタック25」での児玉の名ゼリフは「アタックチャンス!」のはずなのに「ハンターチャンス!」と言っているではないか。ジェイさん、それは「100万円クイズハンター」の司会・柳生博だよ!
まあ、結成わずか1カ月の漫才コンビというテイなら空気を読まず、進行も考えずに自分たちの話をしたり、いまいち練り込みの足りないモノマネを披露したりするのもご愛敬。だが周りの人間にしてみれば、そこそこベテラン俳優の悪ふざけに付き合うのも大変だろうな、と。
(堀江南/テレビソムリエ)