照ノ富士の引退による横綱不在の中、大相撲初場所は稀に見る大混戦、もつれにもつれる展開となって盛り上がっている。この状況を演出した力士の筆頭が、平幕の金峰山だ。相撲ジャーナリストが解説する。
「11日目の大の里戦を見ても、今場所の金峰山は手強い。プレッシャーにも強い。12日目に豊昇龍には敗れましたが、金峰山の当たりは大の里をも撃沈させるほど強烈で破壊力がある。かつての小錦、曙級ですね」
王鵬は最も安定感があるものの、12日目に霧島に不覚を取る。その霧島は初日から3連敗して終わったかと思われたが、その後に怒濤の連勝。まさかの大逆転Vまで見えてきた。この混戦模様は、優勝決定戦にもつれ込む可能性が高いのでは…。
怖い存在は尊富士だ。14日目に豊昇龍との取り組みが予定されているが、2人は昨年の春場所で対戦している。この時、豊昇龍は立ち合ってすぐ右上手を取りにいったがかなわず、差された左腕を抱えて右に回りながら、そのまま小手に振った。尊富士の体は宙に浮いて、土俵下へ落下。今回はどうか。
「豊昇龍は金峰山に勝ったとはいえ、立ち合いは踏み込みが甘く、序盤の取り組みを見れば、好調とはほど遠い内容でした。どこまでキレが戻っているか」(前出・相撲ジャーナリスト)
いったいどうなるのか、容易には予測できない団子状態なのである。
(蓮見茂)