田中将大の評価が「上方修正」されている。巨人キャンプ第1クールの最終日(2月4日)は当初の予定が変更され、田中のブルペン投球練習が行われた。
「練習後、マンツーマンで田中を指導している久保康生巡回コーチが『5、6分の力で投げていてもボールが速いし、強い。制球にブレもない』と説明していました。2月下旬に実戦登板するとの情報も聞かれましたね」(スポーツメディア関係者)
横振りになっていた体の動きを縦回転に修正。その復活に向けた投球フォームの改造は順調に進んでおり、久保コーチが、
「早すぎるなぁ。仕事がなくなっちゃう」
と冗談を言うほどだ。
そこで気になるのが、昨季までの指導内容。楽天イーグルスのコーチスタッフは何をやっていたのか。
「昨春は右肘のクリーニング手術明けだったので、練習らしい練習はほとんどできませんでした」(スポーツ紙記者)
体調面が異なるので単純比較すべきではないかもしれないが、楽天スタッフも不振の原因は分かっていたのではないだろうか。田中は歴代監督、投手コーチに対し、反抗的な態度を見せたことは一度もない。投球フォームの乱れと修正の必要性を伝えてやれば、受け入れていたはずだ。
「田中のキャリアをリスペクトし、遠慮していたのかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
今春の楽天キャンプに目を移せば、球場に一番乗りしているのは、球団アドバイザーの赤見内銀次氏(現役時代の登録名は「銀次」)だという。午前8時前には球場入りし、若手野手たちとウォーミングアップを行い、打撃投手役を務めているそうだ。
「現役時代から練習熱心でした。練習量だけではなく、裏方のスタッフがまとめたデータにしっかり目を通し、コーチやスタッフに色々と質問をしていました」(球団関係者)
契約更改で提示を受けた後、田中は「居場所がないと感じた」と言って新天地を求めた。楽天にも熱心なスタッフがいることは間違いないが、どこで「すれ違い」が生じたのか。元気で明るい今の田中を見ると、退団の経緯がまた気になってきた。東北の楽天ファンも、田中の復帰を応援しているはずだ。
(飯山満/スポーツライター)