舞台となった「まきなみ」の性能を軍事ジャーナリストが解説する。
「対空、対艦、対潜水艦能力を備えた汎用護衛艦です。ステルス性能、電子戦能力も持っています。第4世代に分類され、最新鋭の『あきづき型』の1世代前になりますが、その戦闘能力はかなり高い。多くの武器や兵員を積むことから大型の艦となっています」
今回の処分はA氏、Bさんの経歴に書き込まれ、自衛官であるかぎり常に不利益となる。そのため「懲戒」を受けたほとんどの隊員が自衛隊を辞めてしまうという。
「作戦航海中に任務を離れたこともあり、処分は当然でしょう。重大な規定違反ですから」(海自隊員)
そもそも日本では「海」を女性と捉えてきた文化がある。船に女性を乗せると海がヤキモチを焼いて荒れると考えられていて、「船」は男の世界だった。
「女性隊員を乗せるにはある程度の大きさが必要だという現実的な問題もあります。居住区画、トイレ、風呂なども男女用に作らなければなりません。『まきなみ』もそういう構造になっています」(軍事ジャーナリスト)
13年には海上自衛隊で練習艦とはいえ初の女性艦長が誕生。海自では女性隊員を積極的に現場で登用するようになっている。この流れが、今回の異例の発表につながったというのは、自衛隊の実情に詳しいジャーナリストの秋山謙一郎氏だ。
「男女が同じ艦に乗るような時代になったのに、このような事件が多発してはたまりません。幕僚側としては、あえて発表まですることで、今後このようなことが起こらないよう内部を引き締める狙いがあってのことだと思います」
一方で、秋山氏のもとには一般社会の中間管理職に当たる40代の下士官から多くの声が寄せられているという。それは次のようなものだ。
「どうしても女性のほうが少ないので、とにかくモテる。だから勘違いする女性隊員は多い。今回のようなことも実は頻発していますよ。女性隊員の中には、出航して帰ってきたら妊娠が発覚したけど、誰の子供かわからないということもあったくらい」
若い隊員の「性」までは管理できないこともあり、多くの40代下士官たちは、
「男女を同じ艦に乗せるのではなく、女性と男性で分けてほしい」
という声を強めているという。
「女性・男性という性差で選ぶのではなく、あくまで『人間』の資質や実力、能力で選ぶ時代が来たと考えるべきでしょう」(秋山氏)
国防の最前線にいる隊員は、常にその“資質”が問われていることを自覚するべきだろう。