今シーズンの幕開けとなった1試合で、大ブレイクを予感させたのは、サッカーJ1サンフレッチェ広島のMF中島洋太朗だ。
2月8日に昨季J1王者のヴィッセル神戸と2位の広島が激突する富士フィルムスーパー杯が行われた。18歳の中島はボランチで先発出場を果たすと、2-0で勝利を飾った得点の場面に絡むことはなかったが、攻撃の中心としてチームをコントロール。国立に集まった5万3343人の観客の前でもビビることのない強心臓のプレーに、イラ立った相手選手にファウル覚悟で削られる場面が目立つほどだった。
広島で活躍した中島浩司氏を父に持ち、2023年9月にクラブ史上最年少でプロ契約を結ぶと、世代別日本代表の常連として結果を残してきた。サッカーライターが中島のプレーの特質を解説する。
「元日本代表の中村俊輔以来、久しく日本に現れなかったファンタジスタの誕生です。フォワードにピタリと合わせるスルーパスで決定機を生み出し、それを両足で難なくこなしてしまう。下部組織の時から俯瞰してピッチを見ることができる広い視野が特徴で、ゲームメーカーの才能を全て持ち併せています」
Jリーグでは活躍していないためほとんど無名の存在だが、ともにプレーした選手はひと目で恐るべき才能に気付くという。
「とりわけ外国人選手はビックリするようで、中島がいれば中盤の補強をする必要がない。テクニックがすごすぎて、笑うしかありません。すでに欧州クラブのスカウトマンのチェックリストに入っており、あと何年、Jリーグにいるのか。海外挑戦は時間の問題だと言われています」(前出・サッカーライター)
富士フィルムスーパー杯を見る限り、10年ぶりのリーグ制覇に導く前に、今夏には海を渡っていても不思議ではなさそうである。
(風吹啓太)