2025年のJリーグ開幕に向けて、各クラブが例年以上に活発な動きを見せている。
まず積極的に動いたのが昨季に旋風を巻き起こし、最終戦まで優勝を争った町田ゼルビアだ。リーグ3位に甘んじたとはいえ、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場権を獲得しており、選手層を厚くしたいところである。
現段階で決まっているのは、横浜F・マリノスから日本代表経験のあるFW西村拓真の獲得だ。アビスパ福岡からは展開力、ボール奪取能力、そしてセットプレーから正確なキックを兼ね備えているMF前寛之、FC東京からサイドバックの中村帆高。そしてヴィッセル神戸から、気持ちを前面に出したプレーで1対1に絶対の自信を見せるDF菊池流帆である。
特に西村の獲得は大きい。町田のワントップは194センチの長身オ・セフンだが、昨夏以降、前線で孤立する場面が多かった。だが西村はトップ下、セカンドストライカーとして、2列目からゴール前に飛び込むタイプ。ワントップを生かすプレーもできるため、町田にとって大きな戦力になりそうだ。
次に注目したいのは、浦和レッズ。昨季は13位と低迷した。今季の目標は王者奪還だろう。最大の補強は、柏レイソルから複数クラブとの争奪戦からMFマテウス・サヴィオを獲得したこと。Jリーグで最高峰の外国人選手だ。このほか、ベルギーのコルトレイクから右サイドの仕掛け人、金子拓郎を獲得。手薄だったボランチにはサンフレッチェ広島から松本泰志を補強し、町田から柴戸海を復帰させた。さらにディナモ・ザグレブから荻原拓也を復帰させ、サイドバックを厚くした。
的確な補強ではあるが、センターバック層が薄く、開幕までにどう動くのか。ここ2年間で補強した攻撃陣の中には、戦力になっていない選手が少なくない。これを整理するという課題は残っている。
もうひとつ注目したのは、広島の補強だ。ドウグラス・ヴィエイラ、ピエロス・ソティリウというFWが契約満了でチームを去ったが、得点ランキング3位(19点)のジャーメイン良を、ジュビロ磐田から獲得した。
東俊希ひとりに頼っていた左アウトサイドは、東京五輪代表候補で日本代表の経験がある菅大輝を、コンサドーレ札幌から移籍させた。浦和に移った松本の穴は湘南ベルマーレから、パリ五輪代表候補だった田中聡を獲得して埋めた。攻撃力がさらにアップした感じだ。
今季のJ1開幕戦は2月14日。まだまだ大きな動きがありそうである。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。