「全然できていなかった。満足いくものはなかったです」
投げた田中本人がそう言えば、阿部慎之助監督も、
「ちょっとエンジンがかかるのが遅い。次はもうちょい長いイニングをいくかもしれないので、修正したものを見せてもらいたい」
これは3月9日の阪神戦に先発登板して3回2安打1失点だった、巨人・田中将大の投球に関する肉声だ。とりわけ阿部監督は1点を奪われた初回の投球に不満を示し、及第点を与えていない。
オープン戦3戦目になってもスピードが上がらず、最速145キロ。多くの球が140キロ台前半で、まさに打ちごろだった。
「1失点に抑えられたのはたまたまという見方もできるし、あれではシーズンを乗り切るのは厳しい、と言わざるをえません」(スポーツ紙デスク)
次戦は東京ドームで行われるカブス戦(東京ドーム)での登板が予定されているが、
「何か申し訳ないという気持ち。その試合、投げたい若い選手はいっぱいいると思うので…」
自らのVIP待遇に、田中の口からは弱気な言葉が出てくる。阿部監督は開幕ローテーション入りを明言しているものの、登板できるのはカブス戦を含めて、あと2回。そこで球速が上がらなければ、それこそ若い選手に取って代わられるかもしれない。一気に崖っぷちへ…となってしまうのか。
(小田龍司)