この4月に「沖縄国際映画祭」が新たな形で再始動する。昨年、吉本興業が撤退し、16年の歴史に幕を下ろした「島ぜんぶでお~きな祭 沖縄国際文化祭」に代わるイベントとして企画された。
今回の映画祭はこれまでと異なり、沖縄の新たな文化を広く発信することを目的としている。ところがこの「変化」に、地元飲食店関係者からは不満の声が噴出。さる飲食店オーナーが語る。
「これまでの映画祭は、吉本興業の芸人たちが多数参加することが、集客の大きな要因となっていました。彼らが沖縄市内の飲食店を飲み歩くことでファンが集まり、飲食店には経済的な恩恵がありました。しかし今年から吉本が関与しないとなると、そうした来店客の増加は期待できません」
沖縄市内には芸人が経営するバーなどが多く、これまでの映画祭ではそうした店舗にも一定の経済効果があった。一方、新たな映画祭では著名な映画監督や俳優が訪れるものの、芸人のように気軽に街を歩き回ることは少ないと予想される。
「結局、交通渋滞が発生するだけで、飲食店への恩恵はあまり期待できない」(地元関係者)
さらに那覇市最大の繁華街・松山のナイト業界からも、同様の不満が。キャバクラ勤務の女性が語る。
「毎年、映画祭の時期には芸人さんが飲みに来ることを楽しみにしているホステスが多く、映画祭の開催に合わせて求人募集が増えていました。今年から芸人さんが来ないとなると、女の子たちの出勤率は下がってしまいます。松山はリゾートキャバクラ(リゾキャバ)が多く、内地から働きに来る女の子が多いので、影響は大きいですね」
新生映画祭は、沖縄の文化発信という新たな目標を掲げている。しかし従来の映画祭がもたらす経済効果の恩恵を受けていた地元飲食業界やナイト業界にとっては、マイナスの影響が少なくない。今後の運営次第では、地域との共存をどう実現していくかが大きな課題となるだろう。