先週の弥生賞ディープインパクト記念に続いて、今週も皐月賞トライアルのスプリングSが中山のメインとして行われる。
弥生賞と異なるのは、本番よりも距離が1ハロン短い1800メートル戦であること。そして昨年と同じく、フルゲート(16頭)を大きく割りそうということだ。
それでも素質馬がそろい、顔ぶれはなかなか。体調を崩して8カ月ぶりの実戦になるキングスコールは、その筆頭として挙げていいだろう。
前走のデビュー戦は、札幌での2歳レコードを難なく塗り替えたほど。母系は優秀で血統的背景を思うとかなりの逸材で、今後が楽しみな1頭である。
これまた目下、土つかずの2連勝で、前走のひいらぎ賞をレコードで駆け抜けたデンクマール、同じく新馬―こぶし賞と連勝中のマテンロウバローズが有力候補とみられるが、伏兵陣も多彩で、弥生賞同様、目の離せない見応えある競馬が見られそうだ。
過去、スプリングSを足がかりに大きく羽ばたいた馬は多い。
馬単が導入された03年以降を見ても、03年ネオユニヴァース(皐月賞、ダービー)、06年メイショウサムソン(皐月賞、ダービー)、09年アンライバルド(皐月賞)、11年オルフェーヴル(三冠)、12年ディープブリランテ(ダービー)、13年ロゴタイプ(皐月賞)、15年キタサンブラック(菊花賞)、18年エポカドーロ(皐月賞)といった馬が、この重賞で勝ち負けしたその勢いでクラシックも制している。
まずは過去のデータをひもといてみよう。
03年以降の過去22年間、馬単での万馬券は5回(馬連4回)。この間、1番人気馬は6 勝(2着7回)、2番人気馬は4勝(2着2回)。そう大きく荒れることはないが、それでいて1、2番人気馬によるワンツー決着はわずか1回。配当はともかく、簡単な決着を見ないことは確かだ。
当方としては、ひと波乱ありとニラんで、人気薄のスナークピカソに大きな期待を寄せてみる。
小倉で未勝利戦を勝ち上がったばかり。しかもクビ差の辛勝だった。さらに言えば、未勝利脱出まで6戦を要しており、普通はクラシックを狙えるような力を保有しているとは考えづらいだろう。
しかし、4戦目のあとの放牧が奏功した。リフレッシュされて、まるで別馬。体重は22キロ増、筋肉量も増えて体つきがよくなった。そのため5戦目は逃げてコンマ2秒差の2着、前走は2番手から逃げ馬に競り勝つ好内容だった。
これで陣営の評価も大きく変わった。
「素質はあるとみていたが、それをしっかり出せるようになってきた。そうみています」と、髙橋一調教師をはじめ、厩舎スタッフが口をそろえるように、この中間の稽古内容は実によく、1週前の追い切りもリズミカル。関東まで初の長距離輸送になるが「落ち着きが増してきた」(厩舎スタッフ)だけに、取り立てて問題はないだろう。
5代母メイプルジンスキーは、アラバマSとモンマスオークスを制した米GⅠ2勝馬。父アジアエクスプレスは朝日杯FSを勝ったように、マイラーと言ってもいい馬だが、母系はスタミナ色が濃く、血統的にも距離1800メートルはピッタリと言える。
人気の一角、デンクマールの逃げをマークし、直線抜け出す戦法での〝一発〟は十分あっていい。
逆転候補に挙げたいのも、未勝利を脱出するまで4戦を要したフクノブルーレイクだ。
昇級初戦の前走・フリージア賞(3着)は、3カ月ぶりの実戦。レース前、少しテンションが高かったのは、やはり久々が影響していたようだが、この中間は落ち着いており、巻き返しは可能だ。
こちらは曾祖母がオークス馬のエリモエクセル。自在性があり、どんな競馬もできそうだ。