内閣支持率を急落させている、石破茂総理みずからによる「10万円商品券スキャンダル」。立憲民主党の野田佳彦代表は石破総理が自民党衆院議員1期生に10万円の商品券を配った問題に関し、直ちに退陣を求めることなく衆院政治倫理審査会への出席を求めるなどして、問題を長引かせる意向を示した。求心力が低下した石破政権の方が、夏の都議選や参院選で有利になると踏んでいるようだ。
野田氏は3月16日の青森市内での講演で、こう言っている。
「政倫審で説明を聞こうじゃないか。何回やったのか、歴代総理もやっていたのかなど、自民党の政治文化について説明責任を果たすまで追及する」
この問題をめぐっては、石破総理の地元である鳥取・島根選挙区選出の舞立昇治参院議員が、3月16日に鳥取で行われた会合で、
「歴代総理が慣例として普通にやっていたこと」
と公言した(のちに「事実誤認、推測に基づく発言だった」として撤回)。
自民党内には野党の追及に「反撃」しようとする勢力がある。
「野田さんがそれほどまで言うなら、立憲民主党内にも商品券や高級スーツお仕立券をもらった議員がいないか、調査をすればいい。衆参の常任委員長を含めて。心当たりのある大物議員はいるだろう」(閣僚経験者)
自民党と社会党のいわゆる「55年体制」下では、自民党と野党第一党・社会党の国対委員長同士が良好な関係を保ち、自民党側は高級料亭での接待、わざと負ける賭けゴルフに賭けマージャンなど、「国対費」を使って懐柔していた。その伝統は当時ほど派手ではないが、今でも残っていると言われる。
野田代表にはこの機会に、与野党の馴れ合いがどの程度だったのかをぜひ解明してほしい。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)