胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。
春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすくなる。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」があるが、寒暖差のストレスが加わると「交感神経」が強く働き、胃を守る粘液の分泌が低下したり、胃酸が出すぎることがある。
そのため、胃もたれや吐き気などの症状を発症しやすくなる。
また、寒い時期は、体が血流を調整して寒さから身を守ろうとするが、春は暖かくなることで、自律神経が急な気温の変化に対応できなくなってしまい、体が冷え、胃腸など消化器官の活動に影響を及ぼすこともある。
自律神経は環境の変化に敏感だ。特に春は異動や転勤など生活環境が大きく変わる時期でもある。緊張や不安を感じやすくなり、自律神経が乱れ、憂鬱な気分になったり、食欲不振にもなりやすい。
予防するためには、自律神経を安定させる生活習慣を心がけることだ。食生活は、なるべく消化のよい食べ物を摂り、特に野菜は生で食べるよりも、蒸したり煮て食べた方が体を温める効果が期待できる。
特にこの時期は、歓送迎会が多いため、飲みすぎなどで消化器官に負担をかけるので注意が必要だろう。
他には、十分な睡眠やウォーキングなどの軽い運動をすることもオススメだ。
胃の不調は、だるさや脳の機能の低下などを招くおそれや、重病の危険もあるため、症状が改善しない場合は、医療機関で内視鏡検査を受診することも一考したい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。