ドジャース・大谷翔平が使用すれば、どこまで本塁打数が伸びるのだろうか。メジャーリーグの名門ヤンキースの開幕3連戦の本塁打量産に、こんな声が高まっている。
ヤンキースは開幕戦こそ1番オースティン・ウェルズの1号など2本塁打だったが、20-9と圧勝した第2戦では、初回に3者連続本塁打、しかも全て初球という衝撃的な幕開けに。16安打中9本塁打と、豪快な花火を打ち上げた。
そして第3戦もその勢いのまま、アーロン・ジャッジの4号2ランを含む4本塁打の猛攻である。仮にこのペースで本塁打を量産し続ければ、単純計算でシーズンのチーム本塁打数は756本。これまでのシーズン最多本塁打記録が、2019年にツインズが樹立した307本であることを考えれば、異次元の数字になる。
この飛躍的な本塁打数増の背景にあるのが、ジャッジ以外の多くのヤンキース打者が使用し始めたバットにあるという。長年、メジャーリーグの取材をするスポーツライターは、次のように話す。
「いわゆる改造バットのおかげかもしれません。これは魚雷のような形をしていますが、違反ではない。MLBのバットの規定は、最も太い部分が直径2.61インチ(約6.6センチ)、長さが最長42インチ(約106.7センチ)と決まっています。すでに3試合で3本塁打しているジャズ・チザムを筆頭に、ヤンキースの打者が使用しているバットの形状は、従来のものとは少し違います。ヤンキースの分析官アーロン・リーンハート氏の研究の結果、多くの木材をラベル部分に集め、最も硬い部分で打てるようにしました。そうするとボールにコンタクトしやすくなるらしいんです」
このバットの流行が野球を根底から変えてしまいかねない、との懸念が上がっており、禁止した方がいい、との声も。
「大谷やジャッジらがこの改造バットに手を出したら80本塁打、90本塁打へと記録が伸びるかもしれない。そうなれば従来の本塁打記録など、あってないようなものになってしまいます」(前出・スポーツライター)
確かに道具の革新が、そのスポーツを飛躍させる部分はある。この「合法バット」は今後、どうなるのだろう。
(阿部勝彦)