阪神競馬場で行われるGⅠ・桜花賞(芝1600メートル)を皮切りに、3歳牝馬勢によるクラシック戦線がいよいよ開幕する。
今年はフルゲート18頭がエントリーしてきたが、GⅢ・クイーンC(東京・芝1600メートル)勝ちのエンブロイダリー、GⅢ・フェアリーS(中山・芝1600メートル)勝ちのエリカエクスプレスのほか、GⅠ・阪神JF(京都・芝1600メートル)勝ちから直行してきたアルマヴェローチェら、重賞勝ち馬に人気が集まりそうなメンバー構成。しかし絶対的と言える中心馬は見当たらず、大混戦の様相を呈している。
ならば伏兵馬を狙わぬ手はない。筆者は「異色路線」から3歳牝馬クラシック第1弾に殴り込みをかけてきたリンクスティップを「激走馬」に指名したい。
リンクスティップはデビュー以降、一貫してレベルの高い牡馬混合戦で上位争いをしてきた実力馬。しかも出遅れをはじめとするアクシデントを含めて、どのようなレースにおいても高い対応力を示してきた、若駒らしからぬ自在性の持ち主なのである。
デビュー戦の2歳新馬(京都・芝2000メートル)は痛恨の出遅れ。ところが、である。スローペースで流れる中、向こう正面からマクリを仕掛けて一気に順位を上げるや、4コーナーでは早くも先頭に躍り出て2着に粘り込んだ。
続く2歳未勝利(京都・芝2000メートル)ではキッチリと発馬を決め、テンのスピードに乗りながら、道中は2番手をガッチリとキープ。そして4コーナーでは逃げ馬をアッサリとかわし、2着馬に2馬身半差をつける完勝劇を演じている。
さらに圧巻だったのは、デビュー3戦目にあたる前走のGⅢ・きさらぎ賞(京都・芝1800メートル)だ。ここでもスタートを決めて2~3番手をキープしたが、1000メートルの通過タイムが58秒7のハイペース。3歳牝馬にとっては厳しい流れになったが、それでも最後の直線でバテることなく、堂々の2着を確保したのである。
このような芸当を可能にしているのは、同馬の持つ高い潜在能力にほかならない。
血統や体型から言えば、本来は桜花賞よりもオークスに向くはずだが、その点は同馬の能力と対応力、そしてミルコ・デムーロの手綱さばきがカバーしてくれるだろう。
オークスでの人気を考えれば、今回の桜花賞こそ絶好の狙い目。今年はリンクスティップの単複で、乾坤一擲の勝負をかけてみたい。
(日高次郎/競馬アナリスト)