クラシック第1弾の桜花賞(GⅠ、阪神・芝1600メートル)は近年、トライアルを使わず本番に直行というパターンが主流だ。実際に2年連続で阪神JFからの直行組が勝っているが、今年は直行組が断然有利とはいかないだろう。
その理由はというと、JRAの番組編成が大幅に改編され、ステップレースからGⅠまでの間隔が大きく変わったからだ。
桜花賞トライアルのチューリップ賞とフィリーズレビューは、本番までの間隔が昨年より1週延びてそれぞれ中5週、中4週になった。トライアル組はこれまで以上に十分な調整ができるので、要注意である。
チューリップ賞を勝ったクリノメイは、昨年暮れの阪神JFは入れ込みがきつく14着に敗れたが、それが軽減した前走は追い比べでピップデイジーを競り落とし、追い込んできたウォーターガーベラをハナ差退けた。本番と同じ舞台で勝ったことは大きい。この時のように落ち着いてレースに臨むことができれば、チャンス十分である。
阪神JFで2着だったウォーターガーベラは、1週前の坂路で自己ベストをマーク。今年4戦目になるが、ますます元気だ。騎乗する武豊は歴代最多の5勝を挙げている、桜花賞マイスター。追い込み一手の脚質から展開の助けは必要だが、マークしておくべきだ。
3着だったビップデイジーは競馬が上手なのが魅力で、安定感抜群。6番枠は舞台が外回りになって以降、最多タイの3勝を挙げている理想的な枠。3カ月ぶりをひと叩きされ、調教の動きが一段とシャープになっている。巻き返し必至とみた。
フィリーズレビューを勝ったショウナンザナドゥはそれまで、歯痒いレースが続いていたが、馬体が戻ったことで本来の決め手を発揮。本番の出走権を獲得した。もともと馬体、フットワークの良さは目を引くものがあり、素質はここに入っても上位。良馬場なら好勝負必至だろう。
2着のチェルビアットは単勝101.6倍だったこともあり、フロック視されている。しかし、半姉にジャパンカップを勝ったショウナンパンドラがいるように、血統は確かで、馬体も立派だ。ロードカナロア産駒はこの春のGⅠを3連勝中と、絶好調。一発があってもなんら不思議ではない。
最後に、同じロードカナロア産駒のダンツエランを挙げておく。フィリーズレビューでは6着に終わったが、3走前にはファンタジーSを勝っている。侮るなかれ。
ではグッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)