「闘将・藤川だ、とそれはもう大騒ぎです。かつて闘将と呼ばれた星野仙一を彷彿させると。そう言って持ち上げるメディアの多いこと。でも球団OBを含めてこの態度はやりすぎだ、との声もあります」
これは阪神・藤川球児監督の「星野仙一化」に関する評判だ。
それは4月20日の広島戦(甲子園)の8回一死一・二塁の場面でのこと。広島・岡本駿が投じたカットボールがすっぽ抜けて、打者・坂本誠志郎の頭部を直撃したのだ。真っ先にベンチを飛び出した藤川監督は大激昂。捕手の石原貴規につかみかかろうとした。藤本敦士総合コーチや安藤優也投手コーチらが必死にとりなす中、敵将・新井貴浩監督にファイティングポーズをとり、さらに威嚇したのである。
普段は冷静沈着な藤川監督の闘志むき出しの姿を見てナインは発奮したのか、さらにリードを広げて首位・広島に快勝した。
ところが、だ。野球解説者の田尾安志氏などは、自らのYouTubeチャンネルで藤川監督の言動を「見ていて寂しくなる」などと話し、球界OBからも「ひどすぎる」との声が。
「確かに球界にはかつて『ぶつけろ』という指示をした球団もありましたが、その際は頭以外を狙え、というもの。そもそも頭部は狙っても、なかなか当てられない。頭は大きく動きますからね。狙って頭部にぶつけられるコントロールがあるなら、きちんと狙ったコースに投げて抑えられるはず。そもそも岡本駿はまだこれからの選手。威嚇しては可哀想ですよ。イップスにでもなったらどうするんですか。ある意味、藤川監督の言動は今の時代、パワハラ行為と受け取られかねない。星野さんは監督時代に自軍選手に対する鉄拳制裁も辞さなかったし、乱闘の際には世界の王貞治につかみかかり、殴ろうとしたこともある。でも藤川監督の威嚇行動はやりすぎでしょうね」(在阪スポーツ紙遊軍記者)
その一方では、
「選手を鼓舞するパフォーマンス。本気ではない」(在京スポーツマスコミ関係者)
だとして擁護する向きもあるが、今の阪神は文句なしの優勝候補の一角。笛の吹きすぎでは、踊り疲れてしまうかもしれない。ご用心だ。
(阿部勝彦)