次に大穴予想を展開する兜氏は、
「逃げ宣言のスピリッツミノルが向こう正面から大逃げしてくれれば、穴が出る可能性は高まります」
と言って、次のように続ける。
「この場合、同馬主のミュゼエイリアンとミュゼスルタン(11番人気)に“連係作戦”があっても不思議ではありません。前者は先行、後者は追い込みという正反対の馬。キタサンブラックとエイリアンが離れた2、3番手につけ、3コーナーあたりからエイリアンがスピリッツミノルを捕まえにいきます。そのまま残ればいいし、もし脚が止まったとしても、後ろにいる人気馬が牽制し合っているうちにスルタンが追い込んでくる。ここでおもしろいのは、差し馬ポルトドートウィユ(6番人気)に騎乗する武豊があえて後方に下げる作戦を取り、直線一気の競馬をやる可能性。人気薄の追い込み馬2頭で決まることもあるでしょう」
このケースでも先のNHKマイルカップの238万馬券のような感じになる。
最後に、東濱氏の超万馬券的展開を聞かせてもらおう。
「まず、キタサンブラック(4番人気)。どんな競馬もできるし、鞍上の指示を瞬時に判断できる。3歳のこの時期としては、ぬきんでて光っている一頭です。流れや相手とは関係なく大崩れしないで力を発揮できますが、裏を返せば破壊力には欠けます」
トラックマンも、
「皐月賞で最も中身の濃い競馬をしたのはこの馬だと関係者は口をそろえて言います。リアルスティールの格好の目標となり、あれだけ早めにプレッシャーをかけられて普通の馬ならバタバタになるところ。なのに最後の坂を上がってもう一度脚を使っている。リアルスティールよりはるかに見るべきものがありました」
東濱氏は兜氏同様、ミュゼの2頭も穴候補としてあげつつ、
「おもしろいと思っているのは、タガノエスプレッソ(15番人気)。皐月賞はすごく雰囲気がよく、馬体のバランスのよさも目をみはるものがありました。なぜ走らなかったのか(13着)不思議ですが、ダービーでは3着の大穴候補になりえます。うまくスタートして前で流れに乗ってついていき他馬が取りこぼせば、という条件はありますが。それこそ、09年のロジユニヴァースが、皐月賞を14着と大惨敗してダービーで巻き返した(1着)のと同じです」
12年、阪神ジュベナイルフィリーズ(5番人気⇒15番人気⇒10番人気)の配当が304万7070円。これとほぼ同じである。
最後に、トレセン関係者が、さらに隠れた激走候補を明かす。
「コスモナインボール(18番人気)は道悪での走りが段違いにうまい。東京競馬場では昨年10月のアイビーステークスを勝っています。極端な逃げ切りや追い込みが決まるのではなく、馬群が密集したゴチャゴチャな展開になった場合、伸びしろ抜群の万能型、アダムスブリッジ(9番人気)は怖い存在です」
超万馬券が現実のものとなることを祈りたい。