“腐ってもタイ”か。交流戦のラストは1勝8敗、トータルでも7勝11敗と負け越し、大きく貯金を減らしたものの、不思議なことにセ・リーグでは、いまだに首位の原巨人。チーム内には不安や不満が渦巻いているようだが、この頼りない球界の盟主は、いったいどこに進んでいくのか──。
交流戦では、セ・パの力の差をまざまざと見せつけられた。結果的にセではトップに位置している(6月19日時点、以下同)巨人も、弱々しい姿を何度も披露してきたものだ。
特に深刻なのは打線の低調ぶりである。
2割3分8厘のチーム打率はリーグ5位で、チームトップの坂本勇人(26)ですら2割6分6厘という体たらく。本拠地・東京ドームでの利点を考慮に入れても、本塁打数は36本。トップのDeNAに15本もの差をつけられて、4位という始末なのだ。
そんな中、6月19日の中日戦から阿部慎之助(36)が昇格し、5番一塁でスタメン復帰。阿部は6月6日のソフトバンク戦に捕手として出場し、ファウルチップを顔面に受けて、首痛を再発させて二軍降格していた。
今回の昇格に際し、原辰徳監督(56)は阿部と話し合い、再度、一塁固定を明言して、どこかで聞いたことのあるこんな言葉を口にしたのだ。
「捕手復帰は99%ない」
巨人番記者が語る。
「周囲からは早くも『どうせ“1%”が発動されるんだろ』と陰口が聞こえてきます。もとより阿部の一塁守備に不安を覚えているナインは多い。守っていても第一歩が出ないため強い打球は抜かれてしまうし、首が伸びきらないからショートバウンドが捕球できません。一塁を任された当初から『もう少しうまいと思っていたんだけど‥‥』との声も漏れていた。しかも一塁に阿部が固定されれば、アンダーソン(33)や高橋由伸(40)がレフトに入ります。ただでさえ打線の援護が期待できない投手陣は、守備難の不安を抱えながらマウンドに上がることになるんです」
それでも阿部起用にこだわるほど、現在の打線は精彩を欠いているのだ。
もちろん、今季は故障者が続出したことも大きい。そこに責任を求めるかのように、6月16日、一、二軍のトレーニングコーチを入れ替えてしまった。
そんな状況に冷ややかなチーム内からは、こんな禁断の言葉までが出始めている。
「橋上さんがいれば、こんなことにはならなかったのに‥‥」
「橋上さん」とは、昨年まで巨人で打撃コーチを務めていた、現楽天の橋上秀樹ヘッドコーチ(49)である。
「昨年までは橋上コーチが狙い球を指示して、狙い球が来なければ見逃し三振でも許されました。もちろん、その狙い球の指示が的確だったから、打線が機能してきたんです。確かに、13年の日本シリーズで楽天に狙い球の裏をかかれたり、昨年も阪神・メッセンジャーを毎度攻略できないといった失敗もありました。しかし、橋上コーチが不在となった今季、見逃し三振すれば『武士が刀を抜かずに斬られるようなもんだ!』と原監督から叱責されるため、誰しもが進塁打狙いでお茶を濁そうとする、ショボイ打線になってしまったんです」(スポーツ紙デスク)