現場の混乱はフロントにまで波及──。なんと親会社の読売新聞社までが球団に異例の形で苦言を呈したのだ。
去る7月10日、東京都内のホテルで「読売東京七日会」の総会が開かれた。販売関係者を約1000人集めたこの総会は通常、読売新聞の経営や販売についての報告会に終始する。
ところが挨拶に立った渡邉恒雄会長(89)は、販売対策に総力をあげると述べたあと、締めにこんな言葉を発したのである。
「最後に巨人軍についてでありますが、どうも今年の巨人軍は、目下のところ芳しくない成績であります」
読売にとって巨人は「有力な販促ツール」であるのは疑う余地もない。しかし、総会に出席した読売関係者によれば、
「総会でシーズンの成績に言及するなんて前代未聞ですよ」
と言うのだ。
総会の様子は詳細が「読売新聞社報」に記されている。独自に入手すると、そこには今季の不測事態に憤る読売グループのトップがチームをコキ下ろす言葉が並べ立てられていた。
渡邉会長に続けて挨拶に立った白石興二郎オーナー(68)は、
「ご存じのとおり、セ・リーグは、巨人が5割の勝率を越えて貯金が1で首位に立っていますが、6球団が僅差でひしめく団子状態です」
と切り出すと、混セを抜け出せないジャイアンツ、特に貧打ぶりにこう苦言を呈したのである。
「(投手陣は)セ・リーグ6球団でも上出来の部類に入ります。しかし、肝心の打撃陣は、阿部、坂本、長野、亀井の主軸が安定感を欠き、村田は不調、期待された大田も鳴かず飛ばずのありさまです。現在でもセ・リーグの打撃ベスト10には1人も入っていません(9月4日現在、坂本がようやく10位にランクインしている)」
案の定、「もう一つ見逃せない」として外国人野手の名前まで列挙して酷評を続けた。度重なるフロントの補強失敗にも怒りをにじませているのだろう。販売会議という場において、こう名指ししてまで主力選手をあげつらったのだ。
「新聞離れが進む昨今、読売ならずとも利益減が続いている。選手ばかりが仕事をしなくても何億ももらえる現状では士気も上がらない。場違いとも思える叱咤は、暗に『今オフは大減俸をする』と販売関係者に、そして選手にもアピールをしたのだと思います。さらには、優勝を逃した際の大粛清予告でしょう。白石オーナーは『原監督やコーチ陣の適切な指導と選手自身の不断の精進が大事です』とも語っていましたからね」(前出・読売関係者)
元巨人軍広報部の若林敏夫氏は「社報を入手しましたか」と驚きつつ、こう見解を述べた。
「オーナーが総会のような場でチームのふがいなさ、フロントの弱体に怒っているのですから、よほどのことでしょう。優勝を逃した場合、今オフの混乱は必至ですね」