史上空前の混セを作ったのは、言わずもがな巨人の体たらくだ。4連覇を目指す球界の盟主は、浮上と降下を繰り返してだらだらと終盤まで来てしまった。ついには原監督の“迷走”まで加速して、チームにはシラケムードすら漂っているというのである。
今シーズン絶不調の打線が急にバカ打ちしだしたかと思えば、接戦では沈黙。Bクラス転落の影におびえながらも、原辰徳監督(57)の指揮の下、優勝を目指す──。しかし、巨人のベンチ裏は騒がしい。
何やら奇妙な光景まで目にするようなのだ。
球界関係者が明かす。
「原監督のいないところで、主力選手たちが『な~しっ! な~しっ!』などと叫んでいるんですよ。シャワールームの中からも、監督の口調をマネたようなその叫び声が聞こえて響き、選手たちの失笑が絶えないといいます」
実は前半戦の終盤、原監督が貧打解消のためにナインを集め、悪い運気を取り払うおまじないを伝授したという。それが「なし! なし!」と言いながら、左右の肩を手で払い、順番に息を吹きかけるというものだったのだ。ここまでの成績を見れば、その効果のほどには疑問符が付く。
「監督に指南された時から選手たちは半笑いでした。でも、指揮官が少しでもチームを鼓舞しようとしているのに、それを選手たちが小バカにしていては‥‥」(前出・球界関係者)
確かに原監督の求心力は低下しているようだが、同時にチームの緊張感まで失われようとしている。
巨人番記者が語る。
「8月27日にはヤクルトに敵地・神宮球場で3連敗を喫しましたよね。神宮は試合後にベンチ裏に引き揚げるのではなく、外野近くまで客前を通ってグラウンドを歩かなければならない。ファンから『バカヤロー!』『やる気あんのか!』と罵声を浴び、神妙な顔をしながらファウルゾーンにあるビニールシートの奥に入っていくわけですが、引っ込むや選手たちは笑ってましたよ。ベースに帰塁すらできない牽制死をした坂本勇人(26)や、長野久義(30)といった主力たちが笑みを浮かべ、コーチ兼任の高橋由伸(40)すら苦笑いしている始末でした」
チームに空中分解の雰囲気を漂わせているのは、何も選手ばかりではない。コーチ陣までが原監督とギクシャクし始めたというではないか。それも腹心・川相昌弘ヘッドコーチ(50)との関係を危惧する声が出ているのだ。
川相ヘッドといえば、8月25日のヤクルト戦から、勝呂壽統コーチ内野守備走塁コーチ(51)に代わって三塁コーチを務めている。
表向きは8月16日の中日戦で、ノーアウト二、三塁で二塁走者だった立岡宗一郎(25)は三進したにもかかわらず、前走者が三本間で挟まれてアウトになったとたん、なぜか二塁に戻ろうとしてアウトになる。この信じられないプレーについて、「私の指示どおりに立岡が動いた。私の判断ミスです」と話した勝呂コーチへの懲罰だと思われてきた。
「あんなものはありえないプレーで、完全に立岡のポカ。ところが、原監督がコーチの責任であることを徹底するよう指示したことで、勝呂コーチが『自分の指示で立岡がミスをした』と話を終わりにした。ところが、これに川相ヘッドが異を唱えた。すると、原監督がカッとなって川相ヘッドを三塁コーチに指名したといいます。だから三塁コーチ交代劇は勝呂コーチへの懲罰ではなく、ベンチから川相コーチを遠ざけるのが狙いだったかのように言われているんです」(球団関係者)