スポーツ

開幕直前ワイド!プロ野球「黒いスタートダッシュ」 熱烈ファン1000人&野球有名人「緊急アンケート」

 裏契約金報道「巨人vs朝日」どっちが正しい!?
 「キミたちは結局カネが好きだってことでしょ」
 ペナントレース開幕直前に、「巨人VS朝日新聞」のガチンコバトルが勃発した。朝日の「裏金」スッパ抜きに対し、巨人は「謝罪しろ」。醜すぎる場外乱闘に、蚊帳の外に置かれた野球ファンは怒り心頭なのである。


 3月15日、朝日新聞の1面に球界を激震させるスクープが掲載された。巨人が97~04年度、新人契約金の「最高標準額」(1億円プラス出来高払い5000万円)を大幅に超過する「裏契約」を、6人の選手と結んでいたというのだ。「内部資料を入手した」という記事によれば、密約の内訳は次のようだった。
●高橋由伸=6億5000万円
●上原浩治=5億円+功労金1億2000円
●二岡智宏=5億円+功労金7000万円、出来高3000万円
●阿部慎之助=10億円
●内海哲也=2億5000万円
●野間口貴彦=7億円
 さらに野間口については、入団前に200万円の「小遣い」を渡していたことも明るみに出た。
 庶民感覚からおよそかけ離れた札束攻勢で、使いも使ったり計36億円。
 この報道に対し、巨人は即刻、抗議書を朝日に突きつけ、謝罪を要求。その後も開き直りの論調を展開した。いわく、
「最高標準額は、上限額ではないということを申し合わせたもので、拘束力のない目安。ルール違反は一切なかったというのが球団の認識だ」
 さらに、渡辺恒雄読売新聞本社グループ会長は、内部資料を流出させた「犯人」捜しに着手。結果、
「調べたよ。1人しかいない。他に誰かいるのかい?」
 と、コーチ人事を巡り対立、解任した清武英利氏であるとにおわせたうえで、
「内部文書は秘密文書で、窃盗された文書。つまり泥棒だな」
 いよいよ開幕という段になって泥仕合を見せつけられた野球ファンは、両者の主張をどう見るのか。本誌は1000人にアンケートを行った。まず巨人と朝日、どちらの言い分に説得力があるかとの質問には、やはりというか、「703対297」という圧倒的大差で朝日に軍配が上がった。
「契約金が青天井なら、ドラフトが出来レースになってしまう」(35歳・大阪)
「申し合わせに拘束力がないというのは詭弁。では何のために申し合わせたのか。拘束力の有無を論じる前に、紳士協定としての申し合わせの意味を考えてほしい。野球は紳士のスポーツではないということか」(49歳・神奈川)
 まさしく「巨人軍は紳士たれ」のうたい文句が形だけだったことを痛烈に批判しているのだ。
「カネまみれの堕落したプロ野球界にした読売の責任は非常に重いと感じています。言い訳ばかりを繰り返す巨人の言い分にはまったく同情する余地はありませんね」(46歳・埼玉)
 日本ハムファンのコラムニスト・えのきどいちろう氏も巨人に批判的だ。
「プロ野球の歴史ってジャイアンツの暗黒史でもあるわけじゃないですか。別所(毅彦)の引き抜き事件、江川(卓)の空白の一日、長嶋茂雄だって南海に決まりかけていたのを横取りしたでしょ。巨人は勝者たれって言いますけど、このふるまいはいいかげんにしてほしい」

 犯人捜しに話がスリ替わり

 巨人ファンとして知られる漫画家・黒鉄ヒロシ氏は愛するチームの内情を知り、悩ましげな様子。
「標準額って何なんですか。もしただの標準額なのであれば、巨人の言い訳も立つのかもしれませんが、それにしても、金額の高騰を見込んで、ごまかせるようにしていたとしか考えられない。それなら標準なんて意味がないですよ」
 さらに、こうも嘆くのだ。
「キミたちは結局、カネが好きだったのかって、残念な気持ちです。個人的には人がいくら稼ごうが知ったこっちゃないですけど、裏でコソコソして、それが10億円っていうのは異様ですよ。例えば、長嶋さんは年俸を上げなかった。当時のお金で2000万~3000万円だったかな。そういうところに彼のプロ野球選手としての矜持があった。ただ、10億円くれるって言われたら誰でもニヤッてしてしまうのはわかる・・・・」
 では、対する「巨人支持派」の言い分を聞こう。
「法律や公益に関わる問題ではないので、大騒ぎすることではない。よって、巨人の言い分に理があり」(40歳・大阪)
「金額制限は何の拘束力も持たないルール。したがって、巨人側が正しい。モラル的には疑問を感じるが」(53歳・茨城)
「そもそも明確に罰則制度や法律違反があるわけではないので、巨人の言い分は理解できる」(44歳・東京)
 黒鉄氏があとを引き取る。
「両者とも近視眼的すぎる。朝日は、巨人戦のチケットを使って読売が購読者数を増やした、その嫉妬でしょ。それで全国紙の1面を2日連続使うってどういうことなんですかね。もっと伝えるべきものはあったはず」
 確かに「目くそ鼻くその争い」(41歳・神奈川)という意見もあるが、えのきど氏の見解はこうだ。
「この戦いは『ジャイアンVSクラス委員』みたいなもんですよ。あ、ジャイアンとジャイアンツがかかってるんですけどね(笑)。で、これまでにもジャイアンツは1リーグ制にするとか新球団は認めないとか言いたい放題だったわけですが、だからといって、そこに正義漢ぶった朝日が偉そうに登場してくると、庶民としては『何様なんだよ』って気持ちになりますよね」
 論客の漫画家・やくみつる氏は、また別の見方から斬り込んだ。
「どうせ守る気がないなら、契約金の上限なんて作らなければいいと思いますよ。大相撲の八百長問題も今回の契約金問題も、現場の記者レベルでは公然の事実だった。高橋由伸なんて契約時にオヤジの借金を肩代わりしてもらったとか、さんざん週刊誌で書かれていたじゃないですか。それを放置しておいて、何を今頃かと。実は朝日が報道する時にコメントを求められてそう答えたら、『自戒します』とおっしゃってましたが。結局、数カ月前に起きた清武騒動の第二章になってしまいましたよね。誰が情報をリークしたのかという犯人捜しに話がスリ替わった」
 さて、こんな醜い論争を防ぐ方法について、一家言を持つ野球ファンは言う。
「完全ウェーバー制にする」(30歳・富山)
「違反したらドラフトで不利にするなどの罰則を設ける」(25歳・福岡)
「上限を設けないが、全て公表する」(46歳・大阪)
 いや、実は本音は意外にコレなのかも・・・・。
「どんな厳密にやっても、絶対にずるいことをするから、諦めたほうがいい」(48歳・広島)
 野球界はこうした切実な声をどう受け止めるのか。

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