今年の政局を占うキーワードは「衆参W選」と「橋下旋風」。ジャーナリストの森省歩氏はまず、
「安倍晋三総理(61)の悲願は憲法改正。改憲発議に不可欠な勢力(衆参両院で3分の2以上)を確保すべく、7月の参院選に合わせて解散カードを切ってくるはずです」
としたうえで、次のように指摘する。
「6月1日衆院解散⇒7月10日衆参W選という具体的な日程もすでに固まっています。法律で150日間と定められている通常国会の召集日を異例の1月4日に前倒ししたのも、人気取りのために消費税増税時の軽減税率導入を官邸主導で強引に決めたのも、全ては悲願達成のためです」
安倍総理がひそかに描く改憲シナリオ。ただ、これだけではいささか決定打に欠ける。そこで登場してくるのが、昨年暮れに大阪市長を退任し「政界引退」したあの橋下徹氏(46)なのだ。
「解散に合わせて橋下氏が衆院選に電撃出馬。その間に橋下氏が民間の閣僚に抜擢されるというサプライズまであるかもしれません。安倍総理と橋下氏がタッグを組めば大風が吹く。W選後は橋下氏が事実上のリーダーを務めるおおさか維新の会を糾合した超巨大与党が出現する、という究極のシナリオです」(前出・森氏)
ただ、このシナリオには大きな落とし穴も潜んでいる。ズバリ、難病の潰瘍性大腸炎を持病に抱える安倍総理の健康問題だ。病状に詳しい官邸関係者は、
「総理は下痢のほか、嘔吐にも悩まされています。官邸から調査業務などを請け負っている会社の担当者が総理執務室を訪れた際も、総理がトイレからなかなか出てこないというアクシデントがあった。担当者が官邸スタッフに理由を尋ねると『トイレで吐いていますので』との説明でした。嘔吐がひどい時は、医師が呼ばれることもあります」
として、次のような衝撃的な事実を明かすのだ。
「実は昨年、病状を心配した母親の洋子さんが『政治家は引き際が大事。もう総理を辞めてほしい。(祖父の)岸信介のやり残したことを、あなたはやったじゃないの』と懇願した際、総理は『せめて5月の伊勢志摩サミットまではやらせてほしい』と答え、総理どころか政界引退の考えまで口にしたというのです。それほどまでに総理の体調は悪い」
前出の森氏も、さらなる仰天シナリオの可能性について、こう指摘する。
「安倍総理のサミット花道説が永田町の一部でささやかれていたのは事実。今後、総理みずから『続投は無理』と判断すれば、改憲への道筋がつく7月のW選前後のしかるべき時期に『総理禅譲』の重大発表があるかもしれません。その場合、真っ先に白羽の矢を立てられるのは改憲同志の橋下氏。実際、昨年の夏前あたりから、安倍総理と橋下氏の間で総理禅譲計画がひそかに練られてきたフシがあります」
では、歴史的な激震政局が予測される今年、日本の社会や国民の暮らしは、どう変わっていくのか。
「まずは衆参W選に勝つため、低所得の高齢者1人につき3万円の臨時給付金をバラまいたり、児童手当を子供1人につき3000円増額したりと、国民にしっかりとアメを与えます。そのようにしてW選に大勝利したあと、一転して安倍政権もしくはポスト安倍政権のやりたい放題が始まります。ズバリ、庶民を狙い撃ちにする最大の手のひら返しは、瀕死の病人の布団をはぐような『大増税』です」
こう指摘するのは、獨協大学経済学部教授で経済アナリストの森永卓郎氏だ。
安倍総理は軽減税率の導入と引き替えに消費税率を8%から10%へ引き上げると同時に、法人税率を10%以上引き下げることも決めている。実は消費税増税による税収増と法人税減税による税収減は4兆6000億円とほぼ同じ。何のことはない、消費税増税は福祉のためなどではなく大企業のためだったのだ。
「軽減税率の導入による税収減も埋めなければなりませんから、健康保険や介護保険の保険料を引き上げる一方で、給付額やサービス水準を引き下げるなど、まずは庶民の命綱である福祉に大きなシワ寄せがきます。これら実質的な増税に加え、酒税やタバコ税などのさらなる増税など、さまざまな増税プランが、やつぎばやに実施されていくはずです」(前出・森永氏)
しかも、である。森永氏の予測によれば、
「政権支持率がイマイチの場合、W選直前に消費税の増税そのものを再び先送りするというウルトラCが飛び出す可能性もある」
庶民にとって再度の先送りは朗報に聞こえるかもしれないが、その場合、穴埋めのための福祉予算のカットや別線での増税の度合いはより厳しいものになる。結局、どちらに転んでも「改憲成って民滅ぶ」の構図に変わりはないのだ。