4月消費税増税による価格の上昇をにらみ、駆け込み需要が予想されている。いまだ給与の上がらない状況で、家計への圧迫は確実だが、調べてみると増税後に価格が下がると予想されているモノも数多くあるという。オヤジたちよ、「買うのは今でしょ」とばかりに散財するのはちょっと待てッ!
4月から8%に増税されることが決まっている消費税。まずは、どれほどの負担が我々にかかるのかを経済評論家の渡邉哲也氏が解説する。
「本来、このような商品に税金をかける政策は、景気を抑制する効果が高いのです。価格が上昇するインフレ時や、景気過剰時にやるのが適切なのですが、民主党政権時代に3党合意によって、ほぼ確定的になっていました。段階的に増税するという話もあったのですが、そのたびごとにシステム改修といった膨大な企業負担がかかることもあり、早期の実施を決定したということです。消費税増税によって、1世帯当たり1年で平均8万7000円の負担になると言われています」
国税庁による民間給与実態統計調査結果によれば、12年のサラリーマン平均給与は年間で408万円ほどとなっている。消費税は大きな金額の買い物に対する影響力が大きいため、増税前に駆け込み需要が高まっているのが住宅である。ところが、経済ジャーナリストの荻原博子氏は、その購入に“待った”をかける。
「不動産というのは3月が最も需要が高まる時期で、その時は不動産業者も強気なのです。ところが、4月になると弱気になり、そうなると値引き幅が大きくなる可能性があります。不動産の場合、値引きは100万~200万円と金額が大きいので、消費税増税による価格の上昇と相殺される可能性もあります」
確かに、前回の増税時にも、駆け込み需要直後に、多くの高額物件の価格下落があった。仮に5000万円のマンションを購入すると、5%時代の消費税額は250万円で、8%であれば400万円となる。差額は150万円なので、4月以降に200万円の値引きが提示されれば、逆に得ということになるだろう。さらに、忘れてはならないのは控除や補助金である。
「年収800万円以上の場合、住宅控除の額が倍になります。年収の低い世帯でも最高30万円の補助金が出るので、急いで買う心配はしなくていいと考えます」(前出・荻原氏)
値引きと控除や補助を合わせれば、住宅は消費税増税後に購入したほうが“賢い”と言えるかもしれない。何より「増税」を住宅の購入動機にすることはナンセンスなのだ。
「住宅というのは頭金をしっかり貯めて、住宅ローンがしっかり組める状況にして、のちのち困らないようにして初めて買ってもいいのです。その時期は人それぞれで、消費税のために住宅を買うのはバカげている話なのです」(前出・荻原氏)