適度な朝食で、出勤前のエネルギーチャージは完了。ネクタイを締め、ズボンにベルトを通して出勤だ。だが、仕事による疲労や寝不足、二日酔いで出勤途中に気分が悪くなる場合もある。
「患者さんが救急搬送されると、医師はまず服の襟を緩めます。あれは血圧を下げるため。血圧は体を締めつけることで上がります。なので、朝のうちはきちっと体を締めつけるようなネクタイやベルトは避けるべき。出社後、自律神経が安定したらネクタイを締め直してください」
ネクタイとベルトはダラダラでいいのだ。
日々の電車通勤。その立ち方にも「突然死を引き起こす要因」が隠されているという。
「足にはいろいろな筋肉がついていますが、特にふくらはぎは『第二の心臓』と言われ、刺激することで血液の循環がよくなります。電車通勤も運動の一環と考え、揺れに逆らうことで足の筋肉を動かす。その場合、横方向に開いて立つのではなく縦に少し開くことにより、揺れるたびにふくらはぎ部分が伸縮拡張を繰り返します。それが血管をマッサージして下肢の血行を促進してくれるというわけです」
筋肉が動くと動脈の血流がよくなる。血管内から一酸化窒素が分泌され、これが動脈硬化の予防に役立ち、血管を若返らせてくれるという。
さて出勤後、午前中の仕事を終えれば昼食の時間である。同僚と一緒に定食屋に行く、あるいはコンビニの弁当で済ませるか──。
言うまでもないが、米などに含まれる炭水化物の主体はデンプン。デンプンには消化器官で吸収されやすいものと、吸収されにくいものの2種類がある。
「温かい御飯、すなわち消化されやすいデンプンは小腸で速やかにブドウ糖に分解、吸収されるため、すぐに血糖値が上がります。すると血糖値を下げるため、膵臓からインスリンが分泌されますが、これには血糖値を下げるほかに脂肪をため込む働きがある。つまり、消化されやすいデンプンを過剰に摂取すると、食後の血糖値が急上昇する。これが動脈硬化の進行を早め、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるのです」
一方、消化しにくいほうは「レジスタントスターチ」と呼ばれる食物繊維のような働きをするデンプンのことだ。
「熱を加えたデンプンは冷えると食物繊維のようになります。すると小腸などで吸収されずに大腸のほうまで運ばれていき、それがよけいな糖質の吸収を抑え、結果、血糖値の急激な上昇を抑えてくれるんです」
つまり、御飯は温めず、冷えた状態で食べたほうがいいというわけだ。コンビニで買った弁当やおにぎりは温めてはいけない。