珍名が続々
たけし軍団「命名の儀式」をラッシャー板前が激白
「そのま東んまは『そのまんまでいいや』が芸名に」
「たけし軍団」といえば、言わずと知れたお笑い界の一大勢力。と同時に、芸能界に棲息する変わり種芸名の宝庫として、その存在感も抜群だ。軍団の芸名の名付け親は、もちろんビートたけし(65)。奇抜な芸名の数々には、いかなる由来があるのか。軍団の中でも最古参の弟子である、ラッシャー板前(48)がその全貌を語った。
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最初に僕の芸名の由来からお話ししましょう。ご存じない人も多いでしょうが、僕の最初の芸名は「力道川」というものでした。もちろん、あの力道山をもじったものです。でも、最終的にラッシャー板前となりました。僕の前職の板前と、当時、黒タイツ姿で人気のあったプロレスのラッシャー木村さんのリングネームを組み合わせたものです。
その頃までは、他の軍団メンバーの名前も、それほどこだわったものではなかったという。そのまんま東( 54 )は東英夫、松尾伴内(49)も本名の松尾憲造を名乗っていた。そこで「もっとインパクトのある芸名に替えよう」ということになったという。
ラジオの深夜放送が終わった午前3時過ぎから飲み屋に集まって、たけしさんが、あれやこれやと名前を考えてくれたんです。僕はすでに決まっていたのでメモを取る役目でした。
最初に決まったのは松尾だったと思います。コントで多彩な役を演じるので、七つの顔を持つ男の多羅尾伴内を取って松尾伴内。ガダルカナル・タカさん( 55 )は、「戦争映画に出てくる日本兵の生き残りみたいだな」のひと言が由来です。つまみ枝豆さん(54)は、たけしさんがおつまみの中から「枝豆とかどうだ?」。井手らっきょさん(52)は「頭ツルツルだし、らっきょみたいだから、井手らっきょでどうだ?」と。このあたりは、かなり安易でしたね(笑)。
安易といえば、一番弟子の「そのまんま東」の命名も適当そのものだった。その決定にはラッシャーも深く関わっている。それまでの呼び名「東」のままという意味で「そのまんま東でいいや」と言ったたけしの言葉を、ラッシャーがそのままメモしてしまったのだ。
東さんご自身がそう話しているみたいなんですが、僕はよく覚えていないんですよ(笑)。何しろ午前8時近くでしたから、さすがに眠くて意識も朦朧としていましたから。
ただ、東さんもそうでしょうが、どんなに安易なネーミングでも、たけしさんから名前をもらえるのは、弟子にとってはすごくうれしいんですよ。それまで「おい」とか「アンちゃん」と呼ばれていたのが、ようやくファミリーとして認められたということですからね。
しかも皆、一目でたけし軍団とわかる芸名じゃないですか(笑)。今は、師匠を持たない芸人が主流ですが、僕らにとっては師弟の絆を感じる最たるものが芸名なんですよね。