天龍 そんな感じで、1人で飲んで遊んで朝帰りとかしていましたから、結婚してもしばらくは独身だと思われることが多くてね。
テリー ということは、他の女性の誘惑もあったわけですよね。
天龍 ありましたね。その頃は週末の8時にテレビ中継もありましたから、飲みに行くとちやほやされるんです。
テリー いいなァ、選び放題じゃないですか!
天龍 でも、やっぱり女房が物差しになっちゃうんですよ。話してみて「うちのには勝てないな」と思うと、とたんに興味がなくなっちゃうんです。
テリー すごい話ですね。「勝つ」「勝たない」の基準って何ですか?
天龍 器量の大きさや、度胸が据わってるかとか。
テリー そんなの、一夜妻にいらないですよ(笑)。
天龍 でも、それが女房に知れた時、「何でこんな女にちょっかい出したの?」と思われたくない俺がいるんですよ。だから、女房に勝てる女に出会えた時だけ「よし!」と(笑)。
テリー でも、バレたら大変なんじゃないですか?
天龍 もうこの年になりましたから、女房にも娘にも「昔はお姉ちゃんと遊んでいた時期もあった」ってことは全部話して、納得してもらってます。
テリー えっ、それ大丈夫なんですか?
天龍 今になって娘に「昔、あんたのお父さんにちょっかい出された」って言ってくる女の人もいるんですよ。あることないこと言われると困っちゃうから、自分から話してます(笑)。
テリー 天龍さん、真面目なんだなァ。ちなみに、プロレスラーは夜も強いイメージがありますけど。
天龍 いや、そのあたりは普通の人と変わらないと思いますよ。やっぱり男ってのは「1回出してしまえばそれでいいや」というね(笑)。終わったら「(女性に)早く帰ってくれ」って、そんな感じですよ。
テリー ということは、天龍源一郎といえども1回戦で終わり?
天龍 ハハハハ、そうですね(笑)。
テリー 地方では、タニマチみたいな人もいたんですか? いくらでも飲み食いさせてくれたり、小遣いもくれる、みたいな。
天龍 それは俺、すごくイヤだったんです。レスラーになった時、「何でも飲み食いできるぐらい自分で稼ごう」と決めてまして。だから、スポンサーの人と三遊亭円楽師匠と銀座へ飲みに行った時に‥‥。
テリー 師匠は中学の同級生なんですよね。
天龍 そうなんです。その時に「円楽さん、銀座で飲むには、どれぐらい稼げばいいの?」って聞いたら、師匠が「これぐらい」と指で札束の厚さを見せてくれたから、「よし、じゃあ、それを目指して頑張ろう」と。次に飲みに行った時に、1軒目はスポンサー、2軒目は円楽さん、3軒目は俺、という流れで支払いができた時に「俺もこの業界で成功したんだな」と思えて、すごくうれしかったです。
テリー 何でそこまで自分のお金を使うことにこだわるんですか?
天龍 言っちゃ悪いですけど、5000円くらいで食えるようなものを他人に金を出してもらって、「うまいです」なんてお礼をしている姿を、ファンに見せたくないじゃないですか。
テリー 天下の天龍がそんなことしてたら、確かにガッカリですね。
天龍 だから、俺が若い人にガンガン飲ませてごちそうするのは、「お前もこれくらい飲み食いが自由にできるように頑張れ」ってことを教えたい、という気持ちがあるんですよ。