今年6月に鳩山邦夫氏が死去した際、借りた2000万円を返済していなかったことが報じられた、プロレスラーの大仁田厚。借りた金を踏み倒すのは常套手段のようで、今度は5000万円をむしり取られたと怒りに震える人物が現れたのである。
「俺は40年間、こんなことをやってきた。今も子供たちに勇気を与えられたらって思ってる。いいか、おい、よく聞いてくれ! みんなも諦めず、夢を追い続けてほしい。イチ、ニ、サン、ファイヤー!!」
9月11日、大仁田厚(58)はリングに立っていた。静岡県東伊豆町で行われた電流爆破マッチに勝利したあと、観客の少年をリングに上げるとその腕を高々と持ち上げ、雄叫びを上げたのだった──。
そんな大仁田に怒り心頭の人物がいる。東京・中央区に本社を構え、ITビジネスを展開する株式会社D・H・Gの神長大会長である。
「あの時、『絶対に返しますから』と私に頭を下げたのはウソだったのか。他人の金を持ち逃げして知らぬ存ぜぬというのは、大人としてまともな行動ではない。何かしらの責任を取るのは、社会人として当たり前。もはやお金の問題ではありません。返せないのなら、それなりの制裁を受けるべきでしょう。いまだ強い憤りを感じています」
どうやら、大仁田との間で金銭トラブルが発生しているようなのだ。
神長氏と大仁田との出会いは05年3月に遡る。当時、大仁田は参議院議員。3月26日に後楽園ホールで開催された大仁田の卒業プロレスのDVD化を、神長氏の関連会社が運営するインターネット放送企業で制作することになり、親密になったという。その際、神長氏は1枚1万円という卒業プロレスのチケット1000枚も購入した。
さらに、神長氏が経営するダイコーホールディングス(以下、ダイコー)は05年9月、大仁田をはじめ親族が取締役を務めるダイプロデュース(以下、ダイプロ)と業務委託契約を締結。ダイコー傘下の芸能プロであるドゥーイングプロが、大仁田のタレント活動業務をマネージメントするようになった。つまりこの時、神長氏と大仁田は、芸能プロの会長と所属タレントという間柄だったのである。
そんな2人の間に不穏な空気が流れ始めたのは、06年4月だった。
離婚裁判中だった大仁田は、4月4日に前夫人との離婚が成立。大仁田は財産分与と慰謝料を合わせ、1億円を元夫人に支払うことで合意したという。
「会長、相談があるのですが、聞いてもらえないでしょうか」
そんな大仁田本人から神長氏に連絡が入ったのは、離婚成立の直後である。
神長氏は、東京・六本木にある高級料理店「S」の個室を会合の場としてセッティング。スーツ姿の大仁田は公設秘書(現在は別の国会議員の秘書)を伴って、約束の時刻に現れた。そして深刻な面持ちで開口一番、こう切り出したという。
「離婚が成立して1億円が必要になりました。とりあえず5000万円を支払わなければならない。頼れるのは会長しかいません。間違いなくちゃんと返しますから。どうかお願いします」
政治やビジネスの支援ではなく、きわめて個人的な問題である。神長氏は首を縦に振ることができなかった。