日本のプロ野球選手会が「不参加」を表明した来年3月の第3回WBC。米国に有利すぎる収益システムへの反発で苦渋の決断をした選手会側の意思は固そうだが、あきらめるのは早い。日本人メジャー選手とアマ選手の混成ドリームチームで夢の3連覇を奪取するという超絶プランが急浮上しているのだ!
分配金が米国の5分の1!
「選手会が1年前から主催者側に指摘してきた問題点についての回答がなく、未来の日本の野球のことを考え、苦渋の決断をした」
まさに青天の霹靂だった。労働組合「日本プロ野球選手会」が去る7月20日、大阪市内で総会を開き、新井貴浩選手会長(35)=阪神=が来年3月に開催予定のWBCへの不参加を表明したのだ。
背景には、WBCの事業収益を巡る問題がある。
現行制度では、日本企業などが払うスポンサー料はいったん大会運営会社(WBCI)に納められ、そこから米大リーグ機構(MLB)、日本野球機構(NPB)などに配分される。
日本の選手会は「配分がMLB側に偏っていて不公平」などとして、是正を要求。昨年12月のオーナー会議では12球団ともWBC参加を表明したにもかかわらず、選手会側は態度を保留してきた経緯がある。
スポンサー料だけでなく、各国はグッズ商品化権も運営会社に譲渡しなければならない。09年大会の場合、収益金1800万ドル(約15億円)のうち、NPBへの分配は13%(約2億円)。MLBの66%(約10億円)とはかなりの格差があるのだ。
「一方で、大会のスポンサー収入の約70%は日本からもたらされます。MLB側は、『日本のような経済的に豊かじゃない国も参加できるように、各国選手団の飛行機代や宿泊費なども自分たちが負担している』と反論していますが‥‥」(野球ライター)
選手会の不参加表明を受け、加藤良三コミッショナーは、
「出ない影響を考えないといけない。WBCの持っている意義はカネには換算できない」
と語気を強めた。何しろ、前回大会で日本が韓国に勝って決勝ラウンド進出を決めた試合の平均視聴率は、関東地区で40・1%。決勝の日韓戦も36・4%を叩き出した。
巨人戦中継の視聴率が低迷して久しい中、日本球界にとってもWBCという優良コンテンツを手放すのは大損失だ。
加えて、NPBはすでに参加を表明しており、第1、第2ラウンドの日本開催も内定していた。
これで不参加となれば国際的信用が失墜することは間違いない。ならばどうするか。実は今、球界関係者の間ではこんな「裏技」がささやかれているのだ。
「NPBの選手会が不参加となれば、メジャーの日本人選手とアマチュアの混成チームを結成すれば解決するのでは‥‥」