日系大リーガーが「初出場」
いったいそんなことが可能なのか─。スポーツライターの美山和也氏が、米国側の抱える背景を交えながら、こう解説する。
「運営会社のWBCIはMLBと同選手会が共同出資している組織ですから、各球団に選手の派遣を要請することもできるでしょう。彼らも、日本が出場しないと大会が盛り上がらないのはわかっていますから」
WBCを国際マーケット拡大の一環と位置づけるMLBだけに、その目的達成のためには、日本人メジャーリーガーの参加を後押しするくらいは朝飯前だというのだ。
この案が実現すれば、日本人メジャーだけでも選手の頭数はかなりのところまで賄える。
まず、先発投手陣はダルビッシュ有(25)=レンジャーズ=にヤンキースの黒田博樹(37)、岩隈久志(31)=マリナーズ=。もちろん松坂大輔(31)=レッドソックス=も、ケガの回復しだいでは有力候補だ。中継ぎも高橋尚成(37)=エンゼルス=、上原浩治(37)=レンジャーズ=、同僚の建山義紀(36)とそろい、抑えには斎藤隆(42)=ダイヤモンドバックス=がいる。
内野は川崎宗則(31)=マリナーズ=と西岡剛(28)=ツインズ=で二遊間を組み、外野はイチロー(38)=ヤンキース=、青木宣親(30)=ブルワーズ=、松井秀喜(38)という布陣なら悪くない。
「懸案は捕手だと思われがちですが、WBCは日系人であれば日本代表の資格がある。アスレチックスのカート・スズキ(28)を入れればその心配が解消される。センターラインがしっかりすれば、レベルの高い野球ができるはずです」( 前出・美山氏)
全日本アマチュア野球連盟側も、NPBから正式に要請があれば前向きに応じる意向だと言われている。
「今秋のドラフトで上位指名が確実な“高校ビッグ3”の大谷翔平(18)=花巻東=、濱田達郎(18)=愛工大名電=、藤波晋太郎(18)=大阪桐蔭=、昨秋に日本ハムの1位指名を蹴った菅野智之(22)=東海大=、東都リーグの完封勝利記録を更新し続ける東浜巨(22)=亜大=なども、プロ入りの際にWBC出場を契約に盛り込めば出場できます」(前出・美山氏)
こうして見てくると、確かにアマとメジャーの混成チームでも十分勝負にはなりそう。何だか、逆に華があるうえに、強いんじゃないかという気さえしてくるのだ。