「今のあぶなかった」「いやー、いいボールだ!」など酔っ払ったおっさんと同レベルの解説ともっぱらの松木安太郎氏。一部のサッカーファンからは「居酒屋解説」と呼ばれて愛されている。
「松木は『ちゃんとした解説をしようと思えばできるけれど、サッカーを知らない人向けにあえてこういう解説をしている』と話しています。解説を始めた当初は『解説になってない』『耳障りだ』と批判されることも多かったのですが、彼の思いが通じたのか今では人気になりました」(テレビ局サッカー中継関係者)
これまでテレビ朝日で日本代表の試合を中心に活動してきたが、11月29日、TBSが中継した「Jリーグチャンピオンシップ決勝戦」で解説を務めたことからも、その人気ぶりがうかがえる。
ところがそんな松木には、赤面ものの恥ずかしい黒歴史があるとサッカーライターは明かす。
「あれは2000年のことだったと思います。松木は1994年いっぱいでヴェルディ川崎(現東京ベルディ1969)の監督を辞めていましたが、用事があってよみうりランドにあるヴェルディのクラブハウスを訪れました。するとせっかく来たのだからと、ジュニアユースの練習に顔を出し、中学生たちを指導しました。たっぷり1時間は指導したでしょうか。久々の現場に気分を良くした松木は満足顔で帰っていきました」
事件はこの後、このライターが子どもたちに松木の指導について感想を聞いた時に起きたという。
「子どもたちはみな『わかりやすいし的確だし、すごくよかったです。あの人、タレントさんとは思えないぐらいサッカー詳しかったですよ』と答えていました(笑)」(前出・サッカーライター)
ヴェルディを率いてJリーグ開幕から2年連続優勝を成し遂げた松木をタレント扱いとは驚かされる。だが、1998年にセレッソ大阪の監督に就任したものの成績不振のためわずか半年で解任。当時、解説はほとんどやっておらず、テレビのバラエティ番組ばかり出ていたことを考えると「サッカーが好きなタレント」と思われるのも仕方あるまい。
「当時と今で知名度はだいぶ変わりましたが、松木のサッカーにかける情熱は少しも変わっていません。日本代表の試合でも空席が目立つようになってきた今こそ松木の力が必要なのかもしれません」(前出・テレビ局サッカー中継関係者)
松木はきっとこう言うに違いない。「こっからでしょ、勝負は!」。