「フィギュアスケート世界選手権2017」で、羽生結弦選手が3年ぶりに世界王者となった。SPでは演技開始の遅れとジャンプのコンビネーションの失敗という2つのミスで5位スタートとなったが、そこからいかにして巻き返しに成功したのか。
「羽生選手は絶対にSP1位で折り返すと誰もが信じていたので、98.39点での5位には驚きました。しかも、2つのミス以外は完璧な出来だったにも関わらずです。1位のハビエル・フェルナンデス選手はもちろん、2位の宇野昌磨選手、3位のパトリック・チャン選手までが100点超えで、羽生選手と1位の差は10.66点でしたから、ファンにとっても本人にとっても衝撃だったと思います」(スポーツライター)
しかし、ここで技術的、戦略的な指導だけでなく、メンタルのサポート力でも定評のあるオーサーコーチが動いた。
「海外のインタビューで答えていたのですが、オーサーは羽生がSP後に落ち込んでいるのがわかっていたので、その晩は落ち込ませたままにしておいたそうです。翌日の練習で何とか自分の力を証明しようと必死の羽生選手にオーサーは、1回だけ練習しよう、ランスルー(通しげいこ)はやらないで、休む日だと考えるように言ったそうです。さらに練習を信じるように、リンクに来る時にはもう少し気楽な感じで、集中を緩めてくるようにと伝えたのだとか。羽生選手は、ほかならぬオーサーの言うことを素直に受け止めて、彼の言うとおりに過ごし、翌日にはほどよく気持ちが入った状態になったと言っていました」(女性誌ライター)
コーチとの信頼関係が、羽生選手を3年ぶりの王者奪還へ導いたのだ。
(芝公子)