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武豊も異議を唱えた天皇賞・春「距離短縮」論争の終着点(1)グローバル化が進む中で…

 ここ数年、天皇賞・春の時期になると、必ず巻き起こる論争がある。現行の3200メートルからの距離短縮がそれだ。競馬界最大の競走馬生産グループ、そして天才騎手をも巻き込んだ、大問題の決着の行方は──。

 そもそもの発端となったのは、論客として知られる競馬記者・野元賢一氏が13年末発売の競馬週刊誌に載せた記事だった。欧州にならって2000~2400メートル路線を強化すべく、春の天皇賞は2400メートルに。さらに菊花賞を古馬にも開放せよ、というものだった。

 確かに世界の潮流は2000メートルが中心になりつつある。フランスのダービーも2400メートルから2100メートルに短縮され、ドバイやイギリスでも2000メートル前後の大レースが評価を高めているからだ。

 野元氏の寄稿とほぼ同時期にノーザンファームの吉田勝己代表も、社台の会報誌で天皇賞・春の距離短縮を提言。競馬サークル内で大きな話題となった。

「特殊な距離ゆえに使い勝手が悪く、前後のレースとの関連づけが難しいため、各陣営が春のローテーションに頭を悩ませていること。さらに、故障の可能性が高いことも、吉田氏は指摘。その打開策として出していたのが、距離を2400メートル程度に短縮させることだった。もしそうなれば、なお余力を残した馬がキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(春の欧州NO1決定戦競走)に挑戦するプランも描きやすくなる、という主張でした」(馬産地関係者)

 確かに、春の古馬戦線は中距離馬が目指すレースがなく、海外へとその道を求める陣営が多くなっている、とも言われる。

 これに異議を唱えたのは、天才・武豊(48)だった。武は世界的な流れには一定の理解を示しつつ、週刊誌のコラムで短縮反対を表明。理由は歴史と伝統を誇る大事なレースであり、芝3200メートルという距離は、騎手の腕の見せどころでもあるというものだった。天皇賞・春を7度も制している「平成の盾男」ならではの発言と言えるだろう。

 距離短縮論の背景には、また別の事情も絡んでいた、と競馬ライターは言う。

「天皇賞・春を勝っても種牡馬になれない馬がたくさん出ているから、やっかいなのです。ここ10年でも、マイネルキッツ(09年度)、ジャガーメイル(10年度)、ビートブラック(12年度)と、3頭も乗馬用の馬になっている。競馬の本質が種牡馬選定にあるとしたら、それにつながらない天皇賞・春の価値、意義が問われてもしかたがないだろうとは思いますが‥‥」

 あるいは、近年はフルメンバーがそろわないこともあって、レース自体の魅力が低下していることも事実。そういうこともまた、問題視されているのだ。

 こうした現実を踏まえて噴出している距離短縮論議。実際に競走馬を管理している調教師たちはどう考えているのか。トレセン関係者が明かす。

「今は生産者もオーナーもグローバル化を意識して、競馬に取り組んでいます。世界の潮流は2000メートルを中心とした中距離が主流となっていますから、調教師もそれに合った馬作り、使い方を余儀なくされているのが現状。口にこそ出しませんが、春天のような長距離レースは今の時代にそぐわないと思っている人が多いようです」

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