佳境を迎える春のGI戦線。今年は牝馬の取捨に悩まされたファンも多かったのではないか。高松宮記念でレッツゴードンキが2着し、皐月賞は1番人気ファンディーナが7着と、女の気まぐれな走りに翻弄されるばかりだ。そこで牝馬の“操縦”にたけた騎手を探ると、「荒れるオークス」攻略の糸口が見えた。
牝馬の操縦にたけた騎手は「当たりが柔らかい」とよく表現される。スポーツ紙デスクが解説する。
「例えば、外国人のC・ルメール(37)は柔で、M・デムーロ(38)は剛、地方出身の内田博幸(46)は剛で、戸崎圭太(36)が柔なんて比較されますよね。剛は牡馬に、柔は牝馬に強いイメージ。でも剛タイプでも、牝馬を気分よく走らせて持ち味の切れ味を引き出す騎手は多い。一流どころはどちらもうまいものです」
確かに総合成績が「出走回数1000回以上、かつ複勝率20%以上」の騎手が牝馬に騎乗した時の複勝率を見ると、東西リーディング上位の騎手が並ぶ(集計期間は表と同じ)。
1 ルメール(46.9%)
2 デムーロ(43.8%)
3 福永祐一(41.2%)
4 川田将雅(38.1%)
5 戸崎圭太(38.0%)
そこで、週刊アサヒ芸能の連載コラムでおなじみの伊吹雅也氏に登場願おう。
「集計期間中、牡馬およびセン馬の複勝率は22.4%で、牝馬は18.3%。およそ4%の差がある。無難に乗れば、自然と牡馬の数値が高くなるので、この差が小さければ“牝馬に強い騎手”と言えます」
その結果は、意外にも先のベスト5から3人が消え、ベテランの小牧太(49)がトップに躍り出た。前出・スポーツ紙デスクが話す。
「地方競馬出身だけに、ダート戦の牡馬を剛腕で持ってくるイメージがあるが、牝馬の扱いは巧みです。今年の2月11、12日の京都での4勝のうち3勝が牝馬で人気薄。最終レースは12番人気のクリノリーソクツモで単勝9140円、3連単は229万円オーバーに。騎手が次々乗り替わる気難しい牝馬と折り合い、大外一気の強襲でした」
剛のイメージのデムーロも、牝馬との相性はいい。ルメールと戸崎にしても、その差はともにマイナス1.4%であり、牡牝にかかわらず、常にスマートな騎乗だということがうかがえる。
今週はオークス。戦前の予想では混戦模様だ。
「桜花賞馬のレーヌミノルは距離、2着のリスグラシューは瞬発力、3着のソウルスターリングは父フランケルの東京適性、アドマイヤミヤビは12着大敗後の一戦と、それぞれに不安を抱え、大波乱ムードが漂います」(前出・スポーツ紙デスク)
であれば、出走馬の適性や状態などを抜きで、騎手と牝馬の相性からオークス的中を狙う。まずは舞台となる東京・芝で牝馬騎乗の成績を見ていくと、ルメールとデムーロが抜群だ。
「ルメールは牝馬限定のレースで【10 3 4 13】と、複勝率56.7%。デムーロは出走回数が少ないものの、複勝回収率117%と妙味十分。特別戦の複勝率は60%でした」(伊吹氏)
この2人に続くのが戸崎、福永祐一(40)、横山典弘(49)だ。
※本記事のデータは2014年04月26日から2017年04月16日の3年間に施行されたJRAの全レースを集計対象としています