怒濤の連勝記録で将棋界の歴史を塗り替えた“スーパー中学生”藤井聡太四段。あたかも将棋の駒「歩」が「成り金」するかのごとく、史上最年少のプロデビューから「最強名人」へと成長しつつある。そんな不世出の天才に群がるのはテレビのワイドショーに限らない。知られざるウラの“経済効果”を追った。
何より気になるのは、プロ棋士・藤井聡太(14)の収入だろう。日本将棋連盟が発表している「年間獲得賞金・対局料ベスト10」によれば、16年のランキング1位は9150万円を稼いだ羽生善治三冠(46)。次いで渡辺明竜王(33)の7390万円、佐藤天彦名人(29)の5722万円となっている。将棋ライターの松本博文氏が解説する。
「プロ棋士は、名人への挑戦権をかけて戦う『順位戦』で5段階のクラスに分けられていて、その階級に応じて支払われる“基本給”があります。藤井四段の場合は、プロ1年目なのでいちばん下のランクのC級2組で、月十数万円。デビューしたての新四段の平均年収は、おおよそ300万円と言われていますが、藤井四段に関してはもっと稼いでいるでしょう」
昨年12月に行われた加藤一二三九段(77)との公式デビュー戦は、将棋界で最も賞金が高い「竜王戦」の予選だったが、藤井はあれよあれよと勝ち抜いて、決勝トーナメント進出を決定。この予選優勝の賞金として93万円を獲得している。新記録の「29連勝」をかけた6月26日の大一番は、この竜王戦1回戦だったが、
「竜王戦の決勝トーナメントは対局料も破格。藤井の1回戦は46万円です。対局料は勝敗に関係なく両者に支払われるので、勝ち進めばそれだけ大金をつかめるシステムです。2回戦から順に52万円、77万円、120万円、165万円で、竜王への挑戦者決定三番勝負では、450万円と超高額に。さらには竜王との七番勝負に勝利すると4320万円、負けても1620万円の賞金がもらえます」(将棋連盟関係者)
将棋界で対局料や賞金を公表するのは、きわめてまれ。テレビでもあまり報じられないが、やはりそこは14歳でもたった1日で40万円以上の収入が得られるプロの世界だ。先の関係者が続ける。
「藤井四段は現在、今年から八大タイトルに昇格した『叡王(えいおう)戦』や、賞金750万円の『朝日杯将棋オープン戦』など、9つのタイトル戦に出場しています。仮に全て勝ち抜いたとしたら、年収1億円の大台も見えてくるでしょう」
連勝記録に次いで、いよいよ年間獲得賞金1位も現実味を帯びてきた。