今週は「函館2歳S」が函館で行われる。キャリアの浅い馬が多いせいか、3年連続して2桁人気馬が馬券に絡む中波乱傾向。一方、中京の「中京記念」も5年連続で1、2番人気馬が馬券圏外に。今週は両重賞とも難解だ。
函館2歳ステークス。これが今週のメインである。海のものとも山のものとも判別できない、デビューしたての2歳馬同士の一戦。何とも難解な重賞と言っていいだろう。
頭数はそれなりにそろう。恐らくフルゲート(16頭)になるのかもしれない。デビュー戦の勝ち内容、その走破タイム、それだけで人気、評価が決まってしまうようだが、しかし、そう簡単に決まりにくいのがこの時期の2歳重賞である。
では、データをひもといてみよう。
大穴になることはマレだが、それでも順当に収まることは少ない。馬単導入後のこれまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連では3回)。この間、1番人気馬は3勝(2着4回)、2番人気馬は5勝(2着1回)。単純に言って3回に一度は穴になることがわかる。
だからまずは、各馬のポテンシャルをきっちり見極めることが必要だろう(といっても難しいが‥‥)
今年も各厩舎自慢の好素質馬、秘蔵っ子がめじろ押しだ。それだけに注目すべき一戦だが、言い方を変えれば、それだけつかみどころがない、きわめて難しい重賞。それに今回は、派手にデビュー戦を飾った馬がいない。難解であることは明らかだろう。
ポイントはいくつかあると思うが、ここまで力が拮抗していると見られるのなら、やはりセンスのよさ、血統がモノを言うのではないか。そう踏んで、大きく期待を寄せてみたいのは、パッセだ。
キャリアは一戦のみ。その新馬戦はこれといった評判馬がおらず、2着馬に3馬身もの差をつけての快勝だったが、走破時計は特に取り立てるほどのものではなかった。
しかし、楽々と2番手につけ、追走。直線を向くや、あっさりと抜け出してモノの違いを見せつけての勝利だった。追えばもっと時計は詰められたはずで、そのセンスのよさから、かなりの素質を秘めた馬と見ていいのではないだろうか。
「期待はしていたが、予想以上の勝ちっぷり。まだ仕上がり切っていなかったことを思うと、楽しみが増します」
こう言って期待のほどを口にするのは蛯名調教師。短中距離馬と認識しているようで、福島で勝ち上がりながら、すぐここに目標を置いて調整してきている。そのへんがまた好感が持てるのだが、使われてさらに良化。中間の稽古内容はよく、1週前の追い切りも軽快そのもの。まだまだ上がり目がある2歳馬とはいえ、現時点での状態は文句なしと言っていいようだ。
父パイロは期待ほどの産駒を出していないが、この馬は母系がいい。近親、一族にこれといった大物はいないものの、それでも活躍馬は少なくなく、何よりこの馬は牝系がいい。何代にもわたって欧米の名種牡馬が交配され続けてきており、これが力の源泉となっている。
この時期の2歳戦は、牡、牝に大きな力の開きはなく、やたら牝馬の活躍が目立つのも特徴。過去15年にしぼってみると、牡馬7勝(2着6回)に対して、牝馬は8勝(2着9回)と、牝馬が牡馬を圧しているのである。
このようにデータも後押ししており、短い距離では何とも楽しみな存在。大きく狙ってみたい。
穴は、地方(ほっかいどう競馬)からの挑戦馬。中でもハッピーグリンには注目だ。ロゴタイプ(安田記念)を出したローエングリン産駒で、曾祖母が米国のGI2勝馬。血統的背景からも要注意だ。