自分のミスで取引先の会社とトラブルになり、謝罪に行かなければならない。サラリーマンなら誰しもが経験するこんな最悪な状況が“災いを福に転ずる”最大のチャンスでもあるという。某大手企業のクレーム処理担当者はこう言う。
「謝罪の上手な営業担当は、謝りながら契約を取り付けてきますよ」
毎日のようにワイドショーをにぎわせている「謝罪会見」も、逆に馬脚を現してツッコまれ放題なのは周知のとおり。そもそもなぜ、こういう致命的な失態を演じてしまうのか?
「中途半端な謝罪は通用しないってことです。事前に言い逃れを考えておいても、予想できなかった質問1つでシドロモドロになってしまう。相手に問題点を追加で指摘されてから全面謝罪に切り返しても、もう遅い。やはり、過ちを認める潔さがないと謝罪は成功しません。賠償がチラつき、ヘタに責任を逃れようとすると、実際はさらに追い詰められ、信用もお金も失う結果になるわけです」(前出・クレーム担当者)
そんな基本を踏まえ「絶対に許してもらえる謝罪術」を学ぼう。
(1)絶対に許される土下座
知り合いの工作機器メーカーに勤務する謝罪の得意な人がいるんですが、その人は必ず、相手の工場まで出向いて謝るそうです。そして、歩きながら床が油まみれになっているようなところを探して、そこで土下座する。そうすると謝られたほうが困っちゃって、抱きかかえてくれた社長さんもいたそうです。
(2)絶対に許される菓子折りの選び方、渡し方
私の経験上、謝罪相手はまず菓子折りなどを持っていっても受け取ろうとしません。逆に「これで済まそうとしているのか」と取られてしまいます。だけど、“持っていかないといけない”んです。クレーム処理は問題を解決するのと同時に、心を埋めないといけません。この心を埋めるひとつの手段が菓子折りです。渡すタイミングは、会ってすぐがいい。謝罪は、1度の訪問で解決することはあまりないので、謝罪の中で相手の情報を集め、年頃のお嬢さんがいるなら、喜びそうなものを次回は持参する。こうして、謝罪相手の心に近づけようとする姿勢を見せることが肝心なのです。最初の訪問は定番のもので構わない。大事なのは2度目以降のセレクトです。
(3)絶対に許される始末書の書き方
自分のミスで商談がご破産になった時、社内の上長に謝罪するというケースもあるでしょう。その場合、始末書に盛り込むべきフレーズは、まず「本当に申し訳ありませんでした」という謝罪の言葉。そして、そのうえで「お詫びといたしまして、◯◯をいついつまでに達成します」という、今後へのプラスαを盛り込むのが重要。ミスを把握し、問題を明文化させたうえで、反省の意思を示すべく、今後にどう活かすかを盛り込むのです。もちろん、そう書いた以上、自分に課した課題はなんとしてでも達成しましょう。
ミスを引きずって送る週末ほど、心地の悪いものはない。謝罪の極意をマスターして、心に澱を溜めることなく仕事に励みたいものだ。