「時代の変革者」か、それとも「目立ちたがりの独裁者」なのか。小池百合子都知事が代表を務める「希望の党」を巡り、永田町が右往左往している。なにしろ、すべての意思決定は小池代表の一存。悲願の総理大臣の座を奪取するためには、側近すら利用しかねない独断ぶりに周囲も戦々恐々なのだ。
「希望の党を立ち上げたい。私がしっかり旗を掲げる」
9月25日、都庁で緊急会見を開いた小池百合子都知事(65)は、「戦闘服」である緑色のジャケットを着て、駆けつけた約100人の報道陣を見渡すと、自信たっぷりの口調でこう“宣戦布告”した。
安倍晋三総理(63)の突然の衆議院解散で、後手後手に回っているかのように見えた「小池新党」。ところが、解散予告当日に、安倍総理が記者会見を開くという情報を聞きつけるや、その会見の3時間半前に小池氏みずから代表になるというサプライズ付きの奇襲作戦で、劣勢だった「小池新党」のイメージを一変させることに成功した。その後は、白旗を揚げた民進党が事実上の解党。さらには、小沢一郎共同代表(75)が率いる自由党に、日本維新の会までが連携をにおわせるなど、完全に「反自民勢力」の結集に成功したかに見える。選挙結果しだいでは、念願の「日本初の女性総理の座」も視野に入れているのだ。民進党関係者が語る。
「実は『希望の党』会見の翌夜、都内で民進党の前原誠司代表(55)、民進党最大の支持団体・連合の神津里季生会長(61)と極秘会談を行っています。1カ月ほど前から、小池さんと前原さんはよく連絡を取り合っていたんです。自民党を倒す秘策が話し合われ、民進党を離党して希望の党に合流するのか、党籍を残したまま希望の党に公認申請するのか、などの案が浮上しました。会談には自由党の小沢氏も顔を出したそうです」
しかし、本来ならば「小池新党」の結党に奔走していたはずの最側近・若狭勝衆院議員(60)が同席していてもおかしくないはず。ところが、新党結成の中心人物の一人である、民進党を離党した細野豪志元環境相(46)のいずれも“カヤの外”。「希望の党」代表への就任を聞かされたのも実に、会見1時間前だというから恐れ入る。そのあげく、記者会見では、
「若狭さん、細野さんをはじめとする方々が議論をしてきたが、リセットして私が立ち上げる」
とちゃぶ台をひっくり返されてしまい、早くも党内大粛清の嵐が吹き荒れているのだ。
政治部記者が明かす。
「小池新党については、小池さん自身、若狭氏に任せても新党構想は進まずにイラだっていた。9月中旬には若狭氏が目玉政策として、衆議院・参議院を統合して一院制導入を発表。小池氏も賛同していると言っていましたが、意見はまとまっていなかったんです。実際、25日の会見で小池氏は一院制についてまったく触れませんでした」
さらに言えば、頼りない「小池新党」の面々では、剣が峰の総選挙は戦えないと見切りをつけ、選挙の顔としてみずからが前面に出ざるをえないという事情もあったようだ。
「自民党議員の間では若狭氏を、『小池氏が操る腹話術の人形』とヤユする声も聞かれ、それほど求心力はありません。新党に参加する候補者集めに奔走していましたが、人気がないため苦慮していました」(前出・政治部記者)
小池氏にも見切りをつけられ、浮かぬ顔で結党会見に臨んだ若狭氏。その事務処理能力を買われ、今後は党の顔ではなく、事務方にフェードアウトしていくようだ。