いよいよ10月10日に迫った公示に向けて待ったなしの政権奪取に邁進する「希望の党」。最大の焦点は代表である小池氏の「出馬」にほかならない。再三の報道陣の質問に対して、9月29日の時点では「ありません」と否定しているが、相手はなにしろ“緑のタヌキ”とヤユされる小池氏のこと。この発言を額面どおりに受け取らない意見が大勢を占めているという。
「永田町では、出馬は既定路線。都議会が閉会する10月5日か、8日に都知事辞任を発表すると見られています」(政治部記者)
憲法では総理大臣は国会議員からの選出と定められ、衆院選で大勝しても、代表の肩書だけでは、総理にはなれない決まりなのだ。
国会議員の元政策秘書で作家の朝倉秀雄氏はこう話す。
「解散発表前に自民党本部で独自に調査したら、『加計問題』で多少議席を落としても勝てると見込んでいました。それが突然の希望の党の登場で、調査した意味がなくなったんです」
現在の衆院の議席数は475。次の選挙では小選挙区の区割りが見直されて10議席減るため、「自公で過半数」233が勝敗ラインになる。危険地域は7月の都議選で都民ファーストに惨敗した東京だろう。民主党(当時)が政権交代した09年の衆院選では、東京で自民党公認の候補者が勝てたのは4人だけ。もし小池氏が出馬して都議選のような小池フィーバーが吹き荒れれば、楽勝ムードから一気に野党転落すら起こりかねない。それだけに、自民党は戦々恐々だという。
「今の雰囲気は都議選と似てきた。東京全滅でもおかしくない‥‥」(自民党中堅議員)
都選出の自民党・萩生田光一幹事長代行(54)は、小池氏の電撃会見後に出演したBS番組で、
「党の理念、政策がなく、緊急避難的に選挙のために集まった人たちだ!」
と希望の党に向けて“口撃”を仕掛けた。が、それでも内心の焦りは隠せていなかった。
「議員会館で見かけたら、萩生田氏は顔面蒼白でいつもの肩で風を切るような歩き方ではなく、フラフラでした」(前出・政治部記者)
党内では「解散は失敗だった」(自民党関係者)という声も上がり、動揺はジワジワ広がっている。そんな中、麻生太郎副総理兼財務相(77)に非難とトバッチリが集中している。
「これまで麻生さんが『年内解散するべきだ』と安倍総理に言い続けてきた。それで解散したらこんな状況ですからね。安倍総理に近い議員からは、『麻生さんにダマされた』と不満が噴出しています」(前出・自民党関係者)
急展開を迎え、波乱も予期される衆院選について前出の朝倉氏はこう語る。
「政治に閉塞感が出ると新党ブームが起きて、自民党にお灸を据えたい有権者の票が流れます。希望の党が大躍進できても、そもそも政策は一致しておらず、ただの寄せ集め。政権担当能力はなく、日本新党と同じように消滅する末路でしょう」
一世一代の大博打に打って出た小池氏。寄せ集めで終わるか、大粛清で手綱を引き締めるのか。代表としての手腕がいよいよ問われそうだ。