11月29日早朝、北朝鮮西岸から日本海に向けて大陸間弾道ミサイルを発射した北朝鮮。いよいよ全米本土を射程に収めるなど核ミサイル開発への本気ぶりがうかがえるが、その真意はどこにあるのか? 追究していくと金正恩の実父である金正日の「遺言」が関係していたことが判明した。後継者・金正恩が遵守する“偉大なる指導者”からの「メッセージ」を全文公開する!
まさに、不意を突く“攻撃”だった。11月29日早朝、北朝鮮が日本海に向けて大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したのだ。高い角度で打ち上げて飛距離を縮める「ロフテッド軌道」によって、過去最高の高度4475キロに達し、およそ53分間飛行したあと、日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下している。軍事評論家の潮匡人氏は、再び動きだした北朝鮮についてこう説明する。
「北朝鮮は2カ月半にわたって沈黙している間、核・ミサイル開発を着々と進めていました。今回発射されたICBM『火星15』は、7月に打ち上げた『火星14』とは明らかに形状が違います。より遠くまで飛ぶようになって、核ミサイルの能力は向上しており、ロシアやウクライナからエンジン技術が流出している可能性も。米国のドナルド・トランプ大統領(71)は、11月20日に北朝鮮を『テロ支援国家』に再指定していますが、そのタイミングを利用して軍事的挑発をしたと考えられます」
すでに通常軌道で発射すれば米国全土を射程に収めることになり、1万3000キロ以上の飛行が可能と見られている。一触即発の事態を前に、同日に行われたミズーリ州での演説でトランプ大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(33)について、
「ちびのロケットマン、彼は気味の悪い犬コロだ!」
と敵意を込めて皮肉ると、言葉だけではなく、最大規模の圧力を強めている。12月4日から米韓合同軍事演習を開始。米国側は海兵隊ら1万2000人が参加し、最新鋭のステルス戦闘機など航空機230機を動員して威嚇した。
「有事になった場合を想定して、南北軍事境界線付近沿いに配備された野砲やロケット砲を破壊する演習も行われたようです」(防衛省関係者)
これに対して北朝鮮は朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」で、
「公然たる全面挑戦であり、一瞬で核戦争の火蓋を切る雷管になりかねない」
「米国の無謀な戦争挑発を決して座って見ていることはなく、断固とした対応を取る」
と連日にわたって“舌戦”を展開し、報復まで匂わせている。軍事的な圧力だけではなく、米国を中心に「経済制裁」の包囲網が敷かれる中、なぜ北朝鮮は核・ミサイル開発を続けるのか。そこには“偉大なる指導者”である故・金正日総書記の「遺言」が隠されているのだった。公安調査庁関係者はこう明かす。
「正日氏は容体が悪化して命の危険が迫ってきたことを察知すると、みずからの後継者としての心構えを託すため、正恩氏を病床の枕元に呼びました。そして“遺言”を語り始めたのです」
その“遺言”の全貌は、次のようなものだった。
「ミサイル開発は絶対に諦めるな。国の体制維持のために、これは必要だ。でなければ国がもたない。そして核開発、これはミサイルと一体だ。ここだけは絶対に譲ってはいけない。弾道ミサイルと核は手放してはいけない。これは我々の国家の礎だ。もしこれを手放せば国は滅びるぞ!」
つまり、金正恩は亡くなった父の遺言を忠実に守っているということなのだ。