12月17日、サッカーJ2横浜FCの中村俊輔コーチの引退試合「SHUNSUKE NAKAMURA FAREWELL MATCH」が行われる(ニッパツ三ッ沢競技場)。
最終発表された出場選手の中には、川口能活、楢崎正剛の両GKを筆頭に、長友佑都、遠藤保仁ら日本代表の「戦友」が含まれ、ラストマッチに花を添えることになった。
中村はJリーグの年間表彰式「Jリーグ・アウォーズ」(5日・横浜アリーナ)で功労選手賞を受賞している。晴れがましい席ではあったが、現役最終年に所属していた横浜FCから「いつかトップチームを指揮してほしい」と「監督手形」を受ける形でトップチームのコーチに就任したものの、J2に降格してしまった。
中村本人、「指導者としての焦りみたいのがある。もっといっぱい学べることがあると思うんでね。結果がでなかったんで…プロなんで(指導者としてのやり方が)違ったのかなと考えざるを得ない」と、その責任を感じているようだ。
そんな状況とはいえ、引退試合は一生に一度の場。中村を監督の道へ送りだそうと錚々たるメンバーが集まるわけだが、日本代表でもともにプレーした本田圭佑氏、そして岡田武史氏の名前がない。
「俊輔は確かに素晴らしい選手でしたが、日本代表、それもW杯における活躍がほとんどないですから、仕方がない」(サッカー記者)
特に本田氏との間では、2010年W杯南アフリカ大会の出場権を獲得したあとの強豪オランダ代表との親善試合では「事件」が起きている。0-3で完敗した試合だったが、FKの場面で本田氏が中村に向かって「俺に蹴らせてください。俊輔さん、最近FKを決めていないじゃないですか!」と言い放ったのだ。最終的には中村が蹴ったが、そこから岡田ジャパンに「俊輔対本田」の構図ができあがった。
当時、岡田監督は番記者たちに「適当なネタとして原稿にするな」と何度も火消しを図ったが、最終的には中村をW杯南アフリカ大会の主力から格下げ。その代わりに本田氏を主力にする編成を敷き、この大会はW杯ベスト16まで進出した。そんな「遺恨」が、引退試合のメンバーに垣間見えるのである。
(小田龍司)