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競馬界の巨大王国「ノーザンファーム」の独走と野望(5)一流調教師との強固な関係

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 実は社台が目を向けている外国人は騎手だけでない。馬主にも、である。生産馬を売っていくためには外資の流入もそれなりに必要だと、このところ海外のお大尽たちに馬をドンドン買ってもらっている。彼らが日本で馬主資格を取得するための協力も惜しまない。ノーザンファームとのつながりでは、オーストラリア人初のJRA馬主となったフィル・スライ氏の名前がまずあがる。

「彼はオーストラリアでGI4勝をあげた名牝モシーンの馬主として知られるが、11年のセレクトセールでノーザンファーム生産馬、フジキセキ産駒の牝馬ビアンカシェボンを3100万円で購入。それを美浦の木村哲也厩舎に預けて走らせた。残念ながら3戦1勝の成績で引退してしまいましたが、モシーンのほうは半分の権利を持っていた勝己氏のノーザンファームで繁殖牝馬として過ごしています」(JRA関係者)

 ドバイの王族に対抗する新勢力として世界的な注目を集めているカタール王族も、社台の大切な「お客さん」だ。

 競馬への本格的な参戦は10年とまだ日は浅いが、天然資源で潤う巨大な資金でサラブレッドを買いあさり、ヨーロッパの大レースを次々と制覇。その勢いは今やドバイを上回っている。

 そのカタールマネーをもとに、シェイク・ファハド殿下は13年のセレクトセールでピンクパピオンの2012(牡、父キングカメハメハ)を9000万円で落札したほか、計5頭を購入。翌14年のセレクトセールでも、リッスンの2013(牡、父ディープインパクト)を2億6000万円で落札したほか、計9頭を購入している。この高額馬2頭はノーザンファームの生産馬で、ピンクパピオンの2012はキングパールの名で走っている(現在1戦0勝)。リッスンの2013のほうは、14年12月にイギリスに輸出された。

 こうした外国人の日本馬購買意識の高まりについて、北海道の牧場関係者は次のように話す。

「一つには日本馬の海外での活躍で、質の高さが認められたこと。近年、海外遠征を積極的に行っているのはノーザンファーム生産馬ですが、その成果が売り上げに反映されてきた。もう一つは、JRAも昔のように日本人馬主だけで競馬を支えていく時代ではない、と認識しだしたこと。外国人馬主(国内非居住者馬主)が日本で認められてからまだ6年ちょっとですが、その存在はますます大きなものとなっていくことでしょう」

 ノーザンファームの一流馬にはあまねく一流騎手が乗っていると前述したが、一流厩舎に預けていることも重要なポイントだ。

 例えば美浦の堀宣行、藤沢和雄、戸田博文、萩原清、加藤征弘厩舎など。栗東では池江泰寿、角居勝彦、矢作芳人、松田博資、石坂正厩舎などがあげられよう。毎年、クラシックレースに活躍馬を送る名伯楽に期待馬を預ける。そして両者は揺るぎない関係で結ばれている。例えば──。

 12年春にオルフェーヴル(池江厩舎)が不調に陥ったことがあったが、栗東近郊のノーザンファームしがらきでリフレッシュさせることですぐに回復。宝塚記念(GI)で再び強い姿を見せることができた。

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