中国外務省は11月30日より、日本やヨーロッパの一部旅券を所持する者が中国を訪れる際、短期滞在ビザを免除する措置を実施すると発表した。これにより、乗り継ぎのために長時間、空港で待機する際も、ビザ取得なしで一時的に中国に入国することが可能となる。
従来、中国を経由する航空券を利用するにあたっては、長時間の乗り継ぎでもビザを取得しなければならないケースがあったが、今回の措置により、利便性が向上する見込みだ。その結果、中国経由の航空便を選ぶ利用者が増えることが期待されている。
一方で、中国を経由する航空券は比較的安価で提供されているものの、「ビザが免除されても中国経由の便は避けたい」との声は少なくない。理由のひとつとして挙げられるのが、中国の空港における喫煙環境だ。現地の状況を知る日本人男性が不満を口にする。
「中国の空港では、ひとつのターミナルに喫煙所が1~2カ所程度しかなく、場所によってはかなり歩かなければならないので面倒です。それに加えて、ライターやマッチの持ち込みが禁止されているのも不便ですね。喫煙所には備え付けのライターがありますが、それでもストレスを感じます」
別の利用者からは、インターネット環境についての指摘があった。
「中国ではLINEやXといったSNSが規制されているので、乗り継ぎの待ち時間に気軽に連絡を取ったり、暇つぶしをしたりはできない。その上、空港のラウンジは利用者が多すぎて入れないことが多々あり、結局は待合室でひたすら待つことになります。長時間いると頭がどうにかなりそうですよ」
短期滞在ビザ免除の導入は諸手を挙げての歓迎、というわけではないのである。
安価な航空券以上に快適さを求める層にとっては、中国経由の便が選択肢になりにくい現状が続く可能性があろう。