中山競馬のメインは、スプリングS。周知のように先の弥生賞と並ぶ皐月賞のトライアルレースだ(3着までに優先出走権)。同じ距離で争われる弥生賞ほどではないが、それでも過去には、クラシック候補として名のあがった好素質馬が顔をそろえている。
3冠馬になったナリタブライアン(94年)、オルフェーヴル(11年)は、弥生賞ではなく、ここを本番へのステップレースに選んで勝ち名乗りをあげており、03年にこのレースに馬単が導入されて以降を見てみると、その年のネオユニヴァース(ダービー)をはじめ、メイショウサムソン(ダービー、皐月賞)、アンライバルド(皐月賞)、前記オルフェーヴル、そしてロゴタイプ(皐月賞)、キタサンブラック(菊花賞)が、ここを勝ってクラシックを制しているのだ。
それだけにファン必見の重賞と言っていいが、なるほど、今年も顔ぶれはそろっている。
GI朝日杯FSで2着したステルヴィオを筆頭として、ライトカラカゼ、モーリスの全弟ルーカス、レノヴァール、そしてホッカイドウ競馬の雄ハッピーグリンらの面々だが、有力各馬の力量は高いレベルで拮抗しており、見応え満点の激しい競馬になること請け合い。馬券的にもおもしろくなりそうな一戦だ。
馬単導入後のこれまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは3回(馬連も同じ)。1番人気馬は4勝(2着5回)、2番人気馬は3勝(2着1回)。特に荒れることは少ないが、それでも1、2番人気馬でのワンツーはわずか1回。簡単に決まりそうもないことは確かだ。
ハイレベルの混戦と書いたが、それでも素質は一枚上と評価したい馬がいる。エポカドーロがそれで、この馬をイチ推ししたい。
前走、小倉での勝ちっぷりが実によかった。他馬を寄せつけず楽々と逃げ切ったものだが、少々緩い馬場(稍重)で、走破時計も標準を上回るものだった。
「この時期の3歳馬としては完成度が高い。今日は逃げたが、気性がよく、抑えても競馬ができる。楽しみな馬」
とは、手綱を取った戸崎騎手の弁。この名手がホレ込み、引き続きコンビを組むのは強みだろう。
この中間も順調そのもので、1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。動きのよさに藤原英調教師をはじめ、厩舎スタッフは「前走以上」と口をそろえるほどだ。
名繁殖牝馬ラヴオイルにさかのぼる欧州屈指の名門(短距離王で英チャンピオンサイヤーのホイッスラーなどが一族)の出。母ダイワパッションは重賞勝ち馬(GIIフィリーズレビューなど)で、今後の活躍も見込める逸材と言ってよく、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
連下の穴はパールドバイとルッジェーロだ。前者は未勝利を勝ち上がったばかりだが、一戦ごとに大きく良化し、この中間も順調そのもの。近親にオークス馬レディパステルがいる良血。要注意だ。
後者は、実績からダート馬のイメージを受けやすいが、血統からは芝馬。こちらも使われつつたくましくなっており、軽視は禁物だ。
阪神大賞典は、レインボーラインに期待する。
前走の有馬記念は8着に敗れたが、キタサンブラックが逃げ切ったもので、流れが向かなかった。それでもコンマ7秒差と大きく負けたわけではなく、レース後は放牧でリフレッシュされ、ここ目標にしっかり乗り込まれてきた。
仕上がり早のタイプで、久々でも不安はない。GIではちょい足りないが、得意な阪神での競馬。勝ち負けになっていい。