虫歯を削ったり抜いたりすることで始まる恐怖のローテーション。相変わらず予防の柱とされるのが「歯磨き」だ。ただ、正しく歯磨きを行えば「歯周病」についてはそれなりの効果を発揮する。
だが、虫歯の予防については、WHO(世界保健機関)も「明確な相関関係を示す根拠はない」(03年発表)としている。そればかりか、小峰医師によれば、頻繁に歯を磨きすぎると、逆に虫歯ができる確率を高めることもあるというのだ。
「実は食事をして歯についた酸性の食べ物には、歯の表面にあるエナメル質を柔らかくする性質があります。しかし唾液には、口の中を中和し、エナメル質を再び修復する再石灰化の作用があるため、30分もたてば元の状態に戻る。ところが食後すぐに歯を磨いてしまうと、まだ柔らかいエナメル質が削り取られるばかりか、再石灰化も途中で妨げられてしまうんです」
エナメル質には穴があくことになるため、逆に虫歯ができる確率を高めてしまうのである。
「ですから歯を磨くのであれば、食後すぐにではなく、30分以上たってからにするべきなんです」
虫歯の原因は、一般的には「ミュータンス菌」とされる。ミュータンス菌は食べ物や飲み物に含まれる糖分を餌として増殖し、粘着性のある物質(プラーク)を作って歯の表面に付着すると言われるが、小峰医師は、虫歯は歯の表面ではなく、歯の内側から進んでいると指摘する。
「だからこそ、虫歯を予防するためには、食事内容や生活を見直すしかない」
中でも砂糖を極力減らすことが、最大の虫歯予防だという。小峰医師は20年以上前からオリジナルの「小峰式虫歯予防プログラム」を実践している。
「一般的に予防歯科というと、歯を磨いて表面にフッ素を塗ったり、デンタルリンスで口の中を清潔に保つことで、虫歯を食い止めようというもの。しかし、私が行っている予防プログラムは、虫歯ができる体質そのものを変えようというアプローチ方法です」
同プログラムの大きな柱となるのは、一切砂糖を摂らない「シュガーカット」、そして砂糖を摂る量を制限する「シュガー・コントロール」だ。