今年のドラフト、最も注目を浴びているのは、やはり夏の甲子園で快投を繰り広げ、チームを準優勝に導いた金足農業高校の吉田輝星だろう。
一度は決めていた八戸学院大への進学も取りやめ、プロ志望届を提出。大争奪戦は必至とみられていた。ところが、相思相愛と見られていた巨人が方針転換したのである。
吉田は夏の甲子園大会を終えて地元・秋田へ凱旋した際、報道陣に「巨人に行きたいです」とコメント。まさかの“G逆指名”にマスコミは色めき立ち、巨人側も水面下で本格調査を開始した。150キロを超えるストレートを主軸にスライダー、カーブなどの変化球も切れ味、制球力ともに抜群。高校生ながらうまくいけば即戦力としても計算が立ちそうな力量に加え、長年のスター不足に嘆く背景を考えても巨人としては喉から手が出るほど欲しい存在だったはずだ。
実際に巨人側の編成部門関係者は一部担当記者にオフレコで「よほどのことがない限り、吉田で行くことになるだろう」と漏らしていた。しかし、その「よほどのこと」が起こってしまったのである。
高橋由伸監督の辞任だ。10月上旬、指揮官が今季限りで突然身を引くことになり、代わって前監督・原辰徳氏の再々登板が決まると、編成担当者たちは慌てた。その時の舞台裏について、球団関係者は次のように明かす。
「2002年から03年までの原第一次政権でヘッドコーチを務めていた際、確執が生まれた鹿取義隆GMが今回、事実上の解任。そして第二次政権下でやはりヘッドコーチを務めながらも当時の清武GMのスパイとされギクシャクしていた岡崎郁スカウト部長の異動も決まりました。それまで編成の指揮を執っていたツートップがドラフト前にいきなりいなくなったんです。そして何の前触れもなく『吉田ではなく大坂桐蔭の根尾でいく方針』という話が上から降りてきた。間違いなく原さんの意向で、意地でもアンチ派の意向を受け入れたくなかったのでしょう」
こうした、テレビ・新聞が報じないドラフト会議直前の駆け引きを、10月23日発売のアサヒ芸能11月1日号で詳報している。