テニスの全豪オープンで優勝し、世界ランク1位の座に就いた大坂なおみ選手。2月17日開幕のドバイ選手権での活躍も大いに期待されるが、快挙に沸き続ける日本の一方で、アメリカの一部テニス関係者は、ほぞをかむ思いをしているという。実は大坂選手の所属を巡って、過去に日米で「争奪戦」が繰り広げられていたというのだ。
「大坂選手が2016年の全豪オープンで3回戦進出を果たした時に、米国の女子代表監督が、多額の支援を申し出てアプローチしてきた。けれども、大坂選手は、その高額なオファーに釣られるようなことはなく、日本国籍を選択し続けると断ったんです。実際のところ、大坂選手は大阪生まれではありますが、3歳からアメリカに移住してアメリカで育っており、ご存知の通り、日本語は聞くことはできるけれど、話すのは苦手で英語がネイティブ。日本とアメリカの国籍を持つ二重国籍です。アメリカ国籍で出場してもおかしくはないほどでした」(スポーツライター)
しかし、大坂選手と家族はずっと日本に恩義を感じており、それを尊重したのだという。
「大坂選手がまだジュニアの大会に出ている時、日本テニス協会の女子代表コーチだった吉川真司氏が大坂選手の才能に気付き、来日時には味の素ナショナルトレーニングセンターで練習ができるようにするなど、できる限りのバックアップをしてきたんです。翻ってアメリカは、大坂選手の父親がアメリカのテニス協会に支援のアプローチをしたものの取り合ってもらえず、まったく支援を受けることができなかったのです」(前出・スポーツライター)
恩義を感じて日本籍を選ぶ大坂選手には、日本的なものを感じる。しかし今、大坂選手は22歳で国籍を選ばなければいけなくなるという、日本の法律における二重国籍の問題が取り沙汰されている。罰則規定があるわけでもなく一般人なら明確な選択を迫られることもないようだが、有名人の大坂選手は嫌でも注目されることになる。現在、アメリカには「国籍離脱税」という、国籍を抜く際に全財産の20%を支払うという税金がある。賞金はじめ、多額な収入を得ている大坂選手が、多額な税金を払って米国籍を失うようにすることはないだろうという見方も一部ではある。
すでに国別代表戦のフェドカップで日本から出場しており、ルール上でも今から米国を選択することはないとの見方は強いというが、10月16日の誕生日が近づくにつれ、ますます大坂選手の国籍問題に注目が集まっていきそうだ。
(伊藤その子)