たとえ現役のメジャー選手がいないとはいっても、侍ジャパンのメンバーは日本のトップ選手ばかり。権藤氏が指摘するように、地に足を着けて戦えば、もう少し優勢に戦いを進められてきたのではなかろうか。
とはいえ、「スモールベースボール」を掲げる山本浩二監督(66)からは、スモールどころか、まるで「小物采配」とでも呼ぶべきアタフタした様子が見てとれた。
1次ラウンドの開幕戦から、格下のブラジル相手に田中(将大=24=)を2回1失点、わずか23球で降板させました。
これも大事に大事に行きすぎているからなんだけど、エースに据えた田中を簡単に降板させたことで、それは2番手の杉内(俊哉=32=)にプレッシャーがかかるわけですよ。「あいつがあそこで代えられるなら、俺は1点もやっちゃいかん」となるから打たれてしまう。杉内も2回1失点降板で、続く攝津(正=30=)も失点してしまった。
結局、早め早めの継投といっても、攻めの早めではなく守りながらの早めは、みんな受け身になってしまう。
権藤氏はブラジル戦での田中の早期降板について、1次ラウンドのキューバ戦前から「手応えのないまま降板したことで、次の登板にも影響する」と指摘していた。実際、キューバ戦に中継ぎで登場した田中は、登板直後に連打を浴びて、あっさり2点目を与えている。
先ほども触れた強弱がなかったら、キューバのバッターなら打ちますって。そのあとは開き直ったのか抑えたけど、あの1点はダメ押しみたいなもんだったじゃないですか。あれから抑えたって何にもなんないですよね。
私からすると、何で(3回1失点の)大隣(憲司=28=)をもっと引っ張らなかったのかと思うんです。
彼1人で2点取られてもどうってことはない。でも、いいピッチャーを2人つぎ込んで1点ずつ取られたのは、2点取られた以上のダメージになります。
さらに澤村(拓一=24=)が加点されたのもその流れ。勢いがついたら、いくらいいピッチャーが出たって打たれますよ。
ピッチャーの使い方は2次ラウンドに入ってからも同じで、台湾戦では中継ぎで出した田中が2回をパーフェクトに抑えたら、3回目も続投だった。いいと思ったら使い続け、1点取られたら代えてしまう。そうではなく、いいイメージのところで引っ込めて、悪かったら、もう1回いかすぐらいでないと。
ピッチャーを皆、傷つけて終わってましたもんね。