「守りに入ることで、勢いで負けてしまうんです」
こう語る権藤氏は、ランナーが出たら判で押したように送りバント、という傾向の山本采配に批判的だ
2次ラウンド初戦の台湾戦でも3回、5回のノーアウト一塁で、鳥谷(敬=31 =)みたいないちばん期待できそうなやつにバントさせましたけど、つまらんですよ。結局9回、鳥谷は自分で四球を選び、盗塁して同点につなげましたよね。
もちろん、バントをする場面はしなきゃいかんですよ。最後の最後はね。その台湾戦で、延長10回に坂本が決めたシーンなどは何も言いません。
でも、その前はゲッツーを恐れず、アグレッシブにいくべきだったでしょう。それだけのメンバーがそろっているんですから。
アメリカではデータが出てますが、あくまでバントというのは、アウトを1つあげるわけですから、得点の確率をどんどん下げ、相手が有利になるだけ。相手にプレッシャーを与える時じゃないと、やってはいけませんよ。
他にも、「調子のいい選手を使う」との方針で、選手の入れ替えや打順変更が毎試合のように行われてきたが、権藤氏はこうした采配についても疑問を呈する。
「調子のいい選手から使う」というのを山本監督から直接聞いたことはないのでわかりませんが、調子がいいなんて、出してみないとわかりませんって。3割バッターだって、確率的には1本打ってれば、次は出ない確率のほうが高いし、逆に2打席凡退なら次は打つ確率が高まる。それを短期決戦で、見極めがつくわけないですよ。
下げたり使ったりでは、どうしようもない。やられたらやり返す、でなければね。
まして一流メンバーがそろってるんですよ。打順だって、どうでもいい。一回りすれば、何番だろうが変わらないんですから。
左右のジグザグ打線といっても、一流の選手は右も左も一緒。右だ左だなんていうのは、監督の言い訳じゃないのかな。
そんなことより、“勢い合戦”に負けないことです。
それで負ければ、そんなもんは監督の責任ですよ。
韓国だって1次ラウンドで敗退したほど、相手国のレベルが上がっています。台湾とかオランダとか、わけわからんと言っちゃ悪いけど、ものすごく力をつけてきたしね。今大会は、これまではWBCにあまり関心を寄せず、「早くオープン戦に戻りたい」という感覚に見えたメジャー選手のやる気も予選から感じています。(締め切り時点で)まだ1度負けても1回はチャンスがある状況でしたが、この先はもう負けられないんですよ。
そんな戦いぶりを続ければ、3連覇は厳しいと思います。