天皇賞・春から安田記念まで6週続いたGI戦は、ひと休み。
今週のメインは東西ともGIII戦。東京のそれは、エプソムCだ。エアスピネル(マイルCS僅差2着)やソウルスターリング(オークス)など、GI戦で勝ち負けした馬の顔もあり、なかなかの好メンバーによる争いで、見応えある好レースが堪能できそうだ。
馬券的に荒れることはマレで、本命サイドの競馬となる傾向にある。03年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、その馬単での万馬券は2回のみ(馬連0回)。この間、1番人気馬は5勝(2着4回)、2番人気馬は4勝(2着3回)。1、2番人気馬のワンツー決着は3回ある。
というわけで、穴党向きの重賞ではなさそうだ。とはいえ、競馬は水もの。人気馬を信じ切って無条件に飛びついていいものかどうか。きっちり吟味することを怠ってはいけない。
データをひもといてみよう。おもしろいことに4歳馬が圧倒的に強く、続いて5歳馬。この両世代でほぼ決まっている。過去16年での内訳は4歳馬9勝(2着7回)、5歳馬5勝(2着6回)というのは、頭に入れておいても悪くはない。
比較的順当に収まる重賞と書いたが、穴党としてはデータを念頭に、少々ひねってみたい。
「4歳馬が強い」ということで目に入るのは2頭。サラキアと前走のメイSで1番人気を裏切ったレイエンダだ。いずれもやや人気薄だけに、当欄としては注目してみたい。
特に4歳牝馬のサラキアだ。この馬を中心視する。
牝馬で同レースを勝ったのは、最近ではルージュバック(16年)。22年ぶりのことだったが、これは牡馬に比べて牝馬の出走頭数が少ないからで、力のある牝馬なら断じて軽く見るべきではない。
前走の阪神牝馬Sは10着に敗れたが、勝ったミッキーチャームとの差はコンマ3秒。3カ月の休み明けで体調がイマイチだったのに加えて、最内枠(14頭立ての1番枠)がたたって、終始包まれどおし。展開も向かず、参考外にしていい。
この中間は、いったん放牧。帰厩後は、ここを目標にしっかりと乗り込まれており、ここ2週続けて、追い切りですばらしい動きを披露している。
「状態に関しては前走以上。展開が向けば出番があっていい」と、池添調教師が期待感をにじますほどだ。
昨年はローズS2着、秋華賞4着の実績を残しており、母系はドイツ血統で、母は独オークスの勝ち馬。地力があり、末脚自慢の馬。直線の長い東京コースは、この馬にとって願ってもない格好の舞台だけに、チャンスがあっていい。
阪神で行われるマーメイドSは、牝馬同士によるハンデ戦。よく荒れる波乱含みの重賞として知られており、今年も顔ぶれから一筋縄では収まるまい。
狙ってみたいのは、サラスだ。4歳馬で、使われつつグングンと地力強化されてきた。ノビシロ十分で、本格化するのはもう少し先だが、今の勢いをもってすれば、このメンバーに入っても通用していい。
まだ3勝クラスだが、同条件で前々走の松籟ステークス(7着)では、背負ったハンデが52キロだったことを思うと、オープンクラスのここでは、ハンデは恐らく51キロまで。先行してよく、差してもよしと、自在に立ち回れる器用な馬。阪神コースとの相性も〈1 1 1 0〉とよく、2000メートルの距離もベストだ。
母ララアはGI勝ち馬で、サイフォニック(米GIハリウッドフューチュリティ)など、近親、一族に活躍馬が多い血筋。晴雨にかかわらず、一発があっていい。