吉本興業が雨上がり決死隊・宮迫博之のマネジメント契約を解消したと発表したのは7月19日のことだった。ところが、周知のように、翌日に宮迫と田村亮が吉本の「謝罪会見を開かせない圧力」などを涙ながらに告白した会見を開いたことで事態は急変。20日に吉本の岡本昭彦社長が処分を撤回することを表明する一方、その歯切れの悪い話しぶりに世間の風向きは芸人サイドに同情的になるなど、混乱が続いている。
とはいえ、変わらないのは宮迫自身が反社会勢力への闇営業を行い、ギャラをもらっていないとウソの説明をしていたという厳然とした事実。宮迫の芸能活動再開は当分不可能だろう。その宮迫は10本ものレギュラー、準レギュラー番組を抱える売れっ子。謹慎処分の時点ですでに各番組は宮迫対策を終えているが、今後、さらなる見直しを求められることになりそうだ。
「中には違約金を求める局も出てくるかもしれません。そうなった場合、違約金は契約解消を撤回した吉本興業が払うのかもしれませんが、テレビ局よりも大きな違約金が発生する可能性のある仕事も抱えているんです」(芸能関係者)
それは映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」などの人気映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース」だ。同シリーズにおいて宮迫は「ホークアイ」ことクリント・バートンの日本語吹替を担当している。宮迫がバートンの吹替を担当した作品は12年の「アベンジャーズ」に始まり、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ/エンドゲーム」と4作品にものぼる。
「宮迫の闇営業問題が発覚し、謹慎処分になった時、『アベンジャーズ/エンドゲーム』は劇場で上映中でした。ただ、残りがあと数日だったこともあり、声を差し替えることはなく、そのまま上映されました。エンドゲームを含めた4作品のDVD、ブルーレイ、配信版を宮迫から変更するとなるとお金がかかり、宮迫の違約金も莫大な額になります」(エンタメ誌ライター)
問題は今後公開される映画についても及んでいる。マーベル・シネマティック・ユニバースはすでに「エターナルズ」「マイティ・ソー4」「ブラック・ウィドウ」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー最新作」(タイトルはすべて仮のもの)の4本が製作中、もしくは製作が決定したとされている。宮迫に関係がありそうなのは「ブラック・ウィドウ」だ。
同作はスカーレット・ヨハンソン演じるロシアの元スパイ、ナターシャ・ロマノフが主人公の物語で、来年公開予定だという。
「ナターシャ・ロマノフと宮迫が声を担当したバートンは極めて親密な関係で、これまでの作品には2人の間に仕事面、プライベートで何らかの関係があったことを示唆するシーンがあります。当然、『ブラック・ウィドウ』にもバートンは出てくるでしょう。となれば宮迫から別の人に声優を代えなければいけません。ここで違約金が発生する可能性もあります」(前出・エンタメ誌ライター)
契約社会と言われるアメリカだけに、マーベルは出演者、制作スタッフと細かな契約を結んでいる。その内容が明らかになることはまずないが、違約金に関する取り決めも事細かに決まっているとされる。契約書が存在しなかった吉本興業とは大違いだが、はたしてこちらの問題はどんなふうに着地するのか──。