競馬ファンの多くが注目していた大阪市の元会社員男性に対する「外れ馬券裁判」の判決が5月23日、大阪地裁で言い渡された。結果は「外れ馬券も経費」と認定され“実質勝訴”となったが、今回は例外的なケースで馬券の払戻金は「原則的に一時所得」扱いのまま。これには、マイネル軍団の総帥として知られる岡田繁幸氏も疑問を呈する。
昨年、この裁判のことを知った時、まず、こんなに儲けた人がいたんだ、すごいなと驚き、正直、尊敬しましたね。それと同時に「一時所得」として課税するなんて、これは誰も納得しないだろうし、ひどいなと感じました。理不尽すぎますよね。
この業界にいる者としては、(二重課税を改め)非課税にしてもらいたいと常々思ってきました。馬券を買う時点で、すでに税金を納めているわけですからね。
競馬産業が始まって、国庫に入ったお金っていくらか知ってますか。11兆円とも言われているんですよ。今でも年間に2000億円以上も国家財政に貢献しているわけです。その競馬界を支えているのは競馬ファンです。その人たちをシラけさせたり、不安を募らせるようなことをなぜするのか。そこをもう1度、日本の舵取りをする政治家や官僚の方々には考えていただきたいと思います。
ビッグレッドファームグループ代表の岡田繁幸氏。コスモやマイネルなどの冠名の競走馬の生産者、馬主として知られ、“マイネル軍団総帥”とも呼ばれている競馬界の超大物。04年にはコスモバルクでクラシック戦線を沸かせ、今年もNHKマイルCをマイネルホウオウで制した。
株にしてもパチンコにしても、投機的な業界で儲かる人が減れば、夢が持てなくてモチベーションを落とし、業界自体も低迷、衰退するものです。競馬にしても「儲かったら、また税金を取られるのか」と思われたら、新たに興味を抱いてくれる人どころか、馬券を買う人が減りますよ。
すると、国庫納付金だって減少し、国にとっても困るはずなんです。ただでさえ、競馬の売り上げが下降して、人気復活のために業界の皆さんが知恵を出し合っている時に競馬で儲けた人が現れた。パソコンを駆使していたそうですが、やりようによっては、努力によっては儲かる人がこの業界にもいるんだと思うと、うれしかったですね。
ただ、今回の元会社員こそ、外れ馬券が必要経費と認定され「雑所得」扱いとなり、脱税額も当初の5億7000万円から5200万円に大幅減額された。しかし「原則的には一時所得」のまま。一般的に外れ馬券が必要経費として認められたわけではない。
それもおかしな話ですよね。買い方で「雑所得」と「一時所得」に分けるなんて不公平感があります。ファンの多くは、いつか勝ってやろうと思っているんですから、娯楽であれ、継続的に利益を追求していることに変わりはない。レースの前日から専門紙やインターネットを使って真剣に検討している人に失礼ですよ。
最近は電話投票やネット投票が増え、購入履歴から継続性を把握することができるのだからという話も聞きますからね。私個人から見れば、毎週のように競馬場に足を運んでくれ、窓口で購入するファンだって一緒ですよ。輪ゴムで束ねた外れ馬券だって経費と見なしてほしいと思います。
岡田氏の指摘どおり、多くのファンは困惑を隠しきれない。JRAには課税対象のケースを問う質問や「なぜ、当たり馬券(払戻金)に税金がかかるのか」といった「二重課税」に対する疑問が寄せられている。
今回の裁判で、あらためて馬券を宝くじのように非課税にしてほしいと思いました。もし時間を要するのであれば、少なくとも馬券での儲けは「雑所得」扱いにして、外れ馬券も経費として扱ってほしいということです。